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森にて ページ15

しばらくの間蘭ちゃん達は話し続けていたが、飽きてきたのか眠りについた

それを見計らって私はひょこっと身体を起こす




夜風にでも当たろうと私は靴を履いた



「どこか行くのか?」

『真純ちゃん……起きてたの?』

「まあな、……で、どこへ行くんだ?」

『少しお散歩、来る?』

「いいのか?」






真純ちゃんはまさか誘われるとは思っていなかっただろう

驚いた顔をしながらも同じように靴を履く



以前、赤井秀一から直々に「妹を頼んだ」と言われたことがある

初耳で驚いたが、世良真純は赤井秀一の実の妹らしいのだ

確かに目元とかめちゃくちゃ似てるし、彼と同じように真純ちゃんもジークンドーを心得ている




実は私は真純ちゃんと仲良くなった方だが、零さんとヒロ先輩は真純ちゃんにかなり疑われている

彼女も高校生探偵の名を背負っているからだろうが、今日も警戒心はほぐれていないようだった





真純ちゃんを外に連れ出して歩く

明るい星空と月が道を照らす








『今日さ、透くんたちの演奏の時』

「なんだ?」

『真純ちゃんちょっとつまらなそうだったから……どうしたのかと思ってね』

「……昔、ある人にベースを教わったことがあるんだ」

『ある人?』

「兄の友人らしかったんだけど…それがどうしても光さんにしか見えないんだ」

『…名前とか聞いてなかったの?』

「…もう1人の仲間にスコッチって呼ばれてたよ、そのもう1人は安室さんに見えたしな」

『……』







ウイスキートリオ……

3人でいる時に偶然遭遇したのか






『その事、本人たちには?』

「言ったさ、上手く交わされたけどな」

『そっか…』

「Aさんは光さんの妹だろ?何か知ってたりしないか?」

『……ごめんね、私は何も心当たりがないな……』







下手に口出ししない方がいい

私が突っ込んで荒らすよりも、零さん達が上手く交わしているならそのままにしておいた方がいいだろう







「……兄さんの仲間なら兄さんについて何か知ってるかと思ったんだけどな」

『お兄さん?将棋の人…?』

「いや、それは真ん中の兄貴。いちばん上の兄貴の事だよ、死んじまったけどな」





とぼけてみたけど、この子はやっぱり赤井秀一について探ろうとしている

そこら辺は組織が絡むから危険な領域だ

関わらせたくはない





『……そうなんだ、何かわかるといいね』

「ああ」






今の私にはそれしか言えない

それがもどかしかった

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作者名:cherry* | 作成日時:2022年7月12日 21時

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