なにわ恋愛注意報発令中＿＿＿!?【Ⅱ】 (ページ10)

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出会いページ10

＿＿＿これは、とある事務所に入所した少女の昔話。

【前代未聞!?あの事務所に女の子が……!?】

うちが入所したことは、当時TVやネットニュースで大々的に取り上げられていた。
様々な内容の問い合わせ電話、記者さんからのインタビューが殺到していた。
オーディションに受かった時点でこうなることは予想していたけど、
その時まだ小学生だったうちは毎日が目まぐるしかった。

急に忙しくなって大変ではあったけど、注目してもらえるだけありがたい。
それに、本当に辛いのはこっからやった。

ある日、うちは社長に案内されて関西Jr.が使ってるダンス練習場に向かった。
やっと、これから仲間になる人たちと会える。そんな期待を募らせて行ったうちが甘かった。
確かに練習は出来た。講師の先生は厳しいけど教え方が上手な人で、ダンス自体は楽しかった。

『あ、雨宮結城です……。これからよろしくお願いします』

ホンマはもっと元気にやるはずやった自己紹介。
やけどいざ挨拶をするってなった途端、うちの喉が一気に締め付けられた。
原因は分かってる。緊張してたってのもあるけど、一番は別の理由にある。

みんなから向けられる冷たい視線。”出て行けよ”と言ってるような無言の圧。
圧迫感の恐怖に怯えてる中、社長は「僕、仕事あるから先帰るね」と立ち去ってしまった。
一人置き去りにされて泣きそうになっていると、
「雨宮ちゃんでええんよな?」と尋ねる明るい声が聞こえた。

「俺は大橋和也。気軽に和也くんって呼んだってや。これからよろしくな!」

「何サラッと名前呼びさせようとしてんねん。あ、俺は藤原丈一郎な」

『よ、よろしくお願いします……!!』

大橋くんにツッコミを入れてから、丈くんは”何はともあれ、入所おめでとう”と微笑んでくれた。
丈橋との初めての会話はこんな感じやった。

同期組と距離を縮めるのにも一苦労した記憶がある。
昔のみっちーと謙社は今より喧嘩することも多かった。
それで二人に”怖い”という印象がついたのは成長した今でも覚えている。
恭平は年上やし何考えてるか分からんかったから自分から声を掛けるのに時間が掛かってしまった。

流星くんは”たまに喋る先輩と後輩”的な関係を築いていた。
親しいわけやないけど、仲が悪いわけでもないという微妙な関係。
お互い何となくは”気が合いそうやなぁ”とは思ってたけど、その当時は干渉することはなかった。