なにわ恋愛注意報発令中＿＿＿!?【Ⅱ】 (ページ35)

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結城side

勢いよく開かれる扉に視線を流すと、みっちーに恭平、大吾くんに謙社が立っているのが見えた。
何故かは分からんけど、みちきょへの二人は仲良くドアノブに手を掛けている。
「何してんの?」と疑問を洩らすと同時に、うちは抱き着かれた。

『ぐえっ!!』

我ながら女の子としてどうかと思う声を出すくらい、強く抱き締められた。
いや、一気に三人から熱いハグをされるのは流石のうちでもキツいって。
そんな冗談を言おうとしたとき、違和感に気付いた。……三人?

パッと顔を上げると、扉の近くで俯いている謙社が目に入った。
何か言いたそうにしてるのは伝わったけど、どんなことを言おうとしてるかまでは分からんかった。
「謙社……?」と彼の名前を呼ぶと、「ごめん!!」と頭を下げられた。

長尾「俺のせいで怪我させてもうて……ホンマにごめん」

その言葉で、謙社が責任を感じていることに気が付いた。
”謙社のせいやない”って言っても、真面目やからたぶんずっと気負っちゃうやろうなぁ。
首を振って否定の意を見せてから「うちな」と口を開いた。

『漫画とかアニメで憧れるのはヒロインよりヒーローなんよ』

長尾「え?」

突然話を切り出すうちに謙社は困惑した表情を浮かべた。謙社だけやない。
うち以外のその場におる全員が戸惑っているのが分かった。

『メンバーを事故から守るって、ヒーローみたいでカッコよくない?』

長尾「……っ!!」

『この怪我はその勲章やと思ってるし、お医者さんも治る傷ではあるって言うてるんやろ?
　謙社が謝るようなことは何もしてないで』

ただ単に「責任はない」と言ってもあまり意味はない。せやから、言い方を変えないとアカン。
手首を上下に動かし「おいで」と手招きすると、謙社は無言で近づいた。

『それに、謙社が大怪我しなくてホンマに良かったわ。
　もし守り切れんくて一生体に残る傷作ってもうたらどないしよって思っとったもん』

男の子とは言え、謙社もアイドルやからな。お互いに傷を作るわけにはいかんのよ。
すると、謙社は「フッ」と小さく吹き出した。
そして何故か、”結城って年齢サバ読んでるやろ”と失礼なことを言ってきた。

長尾「発言が女子高生やないって。俺よりカッコいいのやめて?」

……声のトーンと表情から察するに、うちの思いが通じたってことでええんかな。