なにわ恋愛注意報発令中＿＿＿!?【Ⅱ】 (ページ34)

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道枝駿佑side

最悪な事故が起こった次の日。俺はソワソワしながら雑誌撮影の休憩時間を過ごしていた。
仕事に集中せなアカンって分かっとるけど、結城ちゃんのことが気になって落ち着かない。
スタッフさんにも気を遣わせてまうし、俺としても仕事に支障をきたしたくはない……けど。

血塗れになって倒れている結城ちゃんが頭から離れてくれへん。
あの時の俺は、言われた通りに逃げることしか出来んかった。
歌の途中で「逃げて!!」って声が聞こえて、状況が分からんまま端に避けて。

何で結城ちゃんの言葉の意味にすぐに気付けんかったんやという後悔が襲ってきた。
俺はお茶を飲みながら謙社に視線を流した。
”後悔”って面では、たぶん謙社が一番責任を感じてると思う。

「結城が怪我した俺のせいや」ってずっと自分を責めてて、昨日も一晩中泣いていた。
俺らは謙社のせいやと全く思ってへんけど、本人は「ごめん」の一点張りやった。
自分を庇って大事な人が怪我をしたとなれば、俺も謙社と同じことしてるだろう。

”はぁ”とため息をついてスマホに視線を落とすと、
なにわのグループLINEに一件の通知が入っていることに気が付いた。
送り主の名前を見て、俺は反射的にアプリを開いた。

”起きたで～!”
三毛猫が「よっ!」と片足を上げているスタンプと一緒にそんな言葉が送られていた。
謙社も結城ちゃんのメッセージに気付いたみたいで、「良かった」と呟きながらしゃがみ込んだ。

撮影を終えた後、俺たちは結城ちゃんのいる病院に向かった。
その道中でお見舞い品を持った大吾くんと恭平と遭遇し、四人で行くことになった。
受け付けを済ませて結城ちゃんの部屋に向かうと、先客がいるのが見えた。あれは＿＿＿。

西畑「あ、紫耀も来てたんやな」

”あいつも忙しいはずやのになぁ。ホンマ結城思いやわ”と声を洩らす大吾くん。
嬉しいような、悔しいような、複雑な気持ちになった。
紫耀くんと久々にお会い出来ることは嬉しいけど、状況が状況やし素直に喜びづらい。
それに、ライバルに先を越されたと思うと感情が爆発しそうになってまう。

そんな俺の心情なんて露知らず、大吾くんは「今は二人の時間にしよう」と言い放った。
……大吾くんは紫耀くんの味方ってことやな。
とりあえず言われた通りに待っていると、結城ちゃんたちの間に甘い空気が流れ始めた。

我慢出来ず、俺は病室の扉に手を掛けた＿＿＿。