なにわ恋愛注意報発令中＿＿＿!?【Ⅱ】 (ページ32)

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長尾謙社side

一瞬、何が起こったんか分からなかった。
視界に映ったのは自分に抱き着く血だらけの少女と壊れた機材だけ。
色んな声が耳に入ってきたけど、今の俺には全て雑音にしか聞こえんかった。

長尾「結城、結城……!!」

体を揺さぶりながら俺は彼女の名前を叫んだ。アカン、意識がない。
冷や汗が背中に流れ、ひたすら焦ることしか出来んかった。どないしよう!?
俺の息も乱れ始め、体の震えが止まらんくなったとき。誰かが俺の肩に手を置いた。

「しっかりせぇ、謙社!!揺さぶったらアカン。
　もう少しで救急隊員の人が来るから、それまで我慢しーや!」

長尾「丈、くん……」

俺の肩に置いている手を震わせながら、丈くんは俺を叱った。
自分も怖くて不安になってるはずやのに、「大丈夫、結城は死なんよ」と励ましてくれた。
「せやな」と返事をしながら、俺は結城の体をギュッと握り締めた。

しばらくしてからサイレントと共に救急車が現れ、結城は近くの病院に運ばれた。
事故が起きたことはすぐにネットで拡散され、その話題で持ち切りになっていた。
事務所にも大量の電話が入ったみたいで、対応するのが精一杯らしい。

そんな話をマネージャーさんから聞きながら、俺たちは病院の待合室で待機していた。
頭がパンクしそうになるを感じながら俯いていると、ガラッと扉が開いた。
扉の近くにはカルテらしきものを持った看護師さんが立っていた。

「出血が多いので輸血が必要にはなりますが、命に別状はありません。
　ですが念の為、一週間程入院して頂きます」

”その他の詳しいお話は診察室でお話します”
結城マネ、それから大吾くんと丈くんが代表して行ってくれることになった。
ホッと息をついたと同時に、俺は「良かった」と声を洩らして泣きじゃくった＿＿＿。

結城side

ハッと目を覚ますと、うちの目の前には白い天井が広がっていた。ここは……病院?
腕に点滴を打たれたまま、うちはベッドに横になっていた。

まさか、あの怪しい女性が言ってた占いみたいなことが当たるなんて思わんかったわ。
本当に”見える”タイプの人なんか、
それとも彼女が仕組んだことなんかは分からへんけど、どっちにしても恐ろしい。

『とりあえず、生きてて良かったわ』

正直、意識失う直前は”このまま死ぬんかな”って思っとったからな。
そんなことを考えながら、うちは天井に手を伸ばした。