なにわ恋愛注意報発令中＿＿＿!?【Ⅱ】 (ページ13)

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あの時の紫耀くんの言葉は、今でも記憶に残っている。
少しずつ距離は縮まってきてはいたけど、
盗難事件があったせいでまさかみんなから好かれてるなんて発想は出て来んかった。

平野「人の気持ちなんて、相手に聞いてみぃひんと分からんやん?
　ー－－やから、一緒に聞きに行かへん?」

『……え?平野くんも、ですか?』

平野「一人で聞きに行くのって相当な勇気が必要にならん?
　やったら二人で行った方がちょっとは心が楽になるかなぁって思ったんやけど」

当たり前のことかのように言う紫耀くんが眩しく見えた。
＿＿＿この人にとって、誰かに優しくすることは当たり前の行為なんや。
”もしかして一人で行きたかった!?”と見当違いなことを言い出す紫耀くんの言葉を聞きながら、
うちは必死に涙が溢れ出てこんように抑えた。

この事務所に入所してから、うちは沢山の優しさを貰った。
先輩として後輩を指導してくださる優しさ、年齢・性別関係なく接してくださる優しさ。
色んな優しさを頂いたから成長出来た……けど。うちが一番欲しかったのは。

寄り添ってくれる優しさだ。

今となってはなにわ男子のみんなや先輩方含め、多くの人が寄り添ってくださる。
やけど、傷心してたうちにこんな風に声を掛けてくれたのは紫耀くんが初めてやった。
突然泣き出したうちに紫耀くん「え、あ、ごめん!!」と申し訳なさそうにしていた。

『違うんです。ただ、平野くんの言葉が嬉しくて……』

紫耀くんはうちの言葉に目を見開いていた。
静かな空間でひとしきり泣いた後、うちは一人でみんながいる場所に向かうことになった。
「ホンマに俺も着いて行かんくて大丈夫?」って聞かれたので、うちは首を縦に振った。

『平野くんにはお世話になったので、これ以上はご迷惑をお掛けするわけにはいきません。
　それに、これはうちが自分で解決しなきゃいけないことやと思うんです』

真っ直ぐそう伝えると、彼は「……そっか」と呟いた。
紫耀くんと別れた後は、早速みんなの元へ向かって謝罪をした。
涙を零しながら思いをぶつけ合い、最終的には絆を深めることが出来た。

ちなみに、うちに濡れ衣を着せた先輩はうちのことが気に入らんくて嫌がらせをしいたらしい。
彼の行為は社長の耳まで伝わり、退所することになったそうだ。

＿＿＿これがなにわ男子との、紫耀くんの出会い。

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