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滞りなく進行した飲み会は、決して「知的な意見交換会」とは言い難かったけれど、各々が節度を守って適度な距離感で楽しんでいた。
開始から二時間もすれば、大体の人間はもう次の店に行くか解散にするかの相談を始めていて。
このタイミングしかないと、Aさんに目配せする。
こくりと彼女が頷くのを見て、会が始まる前に話しかけてくれた隣の彼の肩を叩いた。
「ごめん俺、Aさんと抜けるからさ、もし聞かれたら二次会は行かないって言っといてくれない？」
「おー」
「……じゃあ、今日はありがとう。また機会があれば」
分かっているんだかいないんだか。
曖昧な返事を受け、酔っ払いなら誰に言っても同じかと席を立つ。
生憎と、ここにいるのは全員酔っ払いなのだから。
俺の後に続いてAさんも立ち上がれば。
「あー！ ミスコン持ち帰り？！ やっぱ東大生流石だわ！」
「……え？」
乾杯の音頭をとっていた彼からちゃちゃが入り、思わずAさんを振り返る。
けれど彼女は意に介さないといった様子で、行こ行こと俺の背を押した。
ミスコン……ミスコン？ 確かに初めて会った時も、他意は無く綺麗な人だとは思ったけど。
京大って今、ミスコンやってないんじゃなかったっけ。
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「……あの、さっきのって」
「あー、やっぱり気になります？」
ぬるい夜風を浴びながら。
人通りもまばらな道を数歩分遅れて歩いていれば、縁石の上で立ち止まった彼女は俺の言葉にくるりとこちらを振り返った。
つられて足が止まる。
そう、先程帰り際に掛けられた言葉。
「ミスコン」という単語。
別にそういう類のものをやっていたとして、その候補生にAさんが選ばれていたとして、何が変わるって訳じゃないけど。
沈黙を破ろうと出てきた言葉がそれだった。
「やってないですよ。ミスコンとか、そういうの」
やっていないのは大学がなのか、彼女自身がなのか。
それを尋ねる気力はない。
「だから勝手にそう呼ばれてるだけです。なんでなのかはよく分からないけど」
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じばくスイッチ(プロフ) - ユメさん» そんな風に思って頂けたら……というコメントを頂戴して驚きと共に大変嬉しいです。ありがとうございます。きっと青春って甘くてきらきらしたものばかりじゃないよなぁという思いで書いておりました。こちらこそ、読んでくださり本当にありがとうございます。 (2023年3月10日 7時) (
レス) id: 3711322760 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - ほんの少し何かが違っていれば結ばれていたようで、でも何度やり直しても同じ結末を辿りそうな二人の関係が本当に切なくて美しくて、こんなに素敵な作品を世に出してくださった作者様に感謝です。 (2023年3月9日 21時) (レス) @page26 id: c6aaf0c2c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じばくスイッチ | 作成日時：2023年1月3日 23時
