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「ノブさ、GW旅行行かん？」
「どこにですか？」
「地元なんだけどさ、めっちゃいいとこ知ってんの俺」
「京都……って事ですか？」
「そ。そうだ、京都に行こう！ ……的な」
京都と聞いて真っ先に思い出すのは当然、彼女の顔。
彼女の顔を思い出せば、それに伴って色んな記憶が脳内を駆け巡る。
京都、旅行、GW……そういえば。
「俺、近いかわかんないですけど、そういえば京都のホテルのチケット持ってます。ペアの」
「天才か？」
「日付決まったら電話で予約入れときますね」
「え、今決めちゃお決めちゃお」
エンバースホテル。全部屋露天風呂付きの、京都肉が美味しいホテル。
定期を拾ったお礼にと、肉につられて受け取ったチケット。
期限は一年後だからと言われ。
……あれからもう、一年になるのか。
「じゃあ、3、4にしよう。3日と4日」
「火曜と水曜ですね？ わかりました、電話します」
「頼んだ」
スマホで電話番号を調べ、受話器のボタンをタップする。
2コール目を待たずして繋がった電話口の向こうは、ハキハキとした女性の声だった。
……なんだか、Aさんの声に似ている、なんて。未練がましい思考が過ぎる。
今、はっきりと聞こえた苗字はAでは無かったから、別人だ。当然なんだけど。
予約したい日付とプランと名前を伝えると、名前を伝えた後で少し間があってから、電話口の女性は予約内容を復唱した。
間違いの無いことをちゃんと確認して電話を切る。
「失礼しまーす」と言いながら見えないこちら側で頭を下げて、通話を無事終了させた。
「予約取れました」
「あんがと！ 楽しみ！」
「はい、楽しみです！」
須貝さんのお陰で少しは取り戻した調子に、もうひと仕事しようとパソコンを開く。
この仕事が片付いたら、あのトークルームは削除しようかなんて思った。
いつまでも俯いているなんて性に合わない。
きっと彼女だって、同じ空の下でしゃんと背筋を伸ばして、上を向いて生きているのだから。
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じばくスイッチ(プロフ) - ユメさん» そんな風に思って頂けたら……というコメントを頂戴して驚きと共に大変嬉しいです。ありがとうございます。きっと青春って甘くてきらきらしたものばかりじゃないよなぁという思いで書いておりました。こちらこそ、読んでくださり本当にありがとうございます。 (2023年3月10日 7時) (
レス) id: 3711322760 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - ほんの少し何かが違っていれば結ばれていたようで、でも何度やり直しても同じ結末を辿りそうな二人の関係が本当に切なくて美しくて、こんなに素敵な作品を世に出してくださった作者様に感謝です。 (2023年3月9日 21時) (レス) @page26 id: c6aaf0c2c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じばくスイッチ | 作成日時：2023年1月3日 23時
