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近づけば、俺に気づいた紫髪の人間がこちらを振り向く。
口元にニヤリと笑みを浮かべて。
「送んないの、写真」
「誰にだよ」
「カノジョ」
「彼女じゃないし」
送んない。
乾が言う「カノジョ」とは勿論、Aさんのことだ。
彼女じゃないし、送らない。
それは仲違いをしたからとかそういう理由ではなく。
「今日会うから別に、わざわざ送んなくてもいいでしょ」
「うーわ、カップルじゃん」
「明日からしばらく実家なだけだし」
そう、直接会うのだ。
お互いに卒業式を終えて、明日からは暫く愛知にいる。
たとえ今日会えなかったとしても、明日以降がある。
地元が同じとはこんなアドバンテージがあるのだ。
……別に同郷じゃなくたって、会いに行ったけど。
内心そんなことを思うくらいには、Aさんに惚れていた。今日会って、俺は直接告白するつもりだ。
「言いたいことがある」と伝えてあるから、もう薄々勘付かれているかもしれないが。
「じゃあもう帰る準備しなよ」
「まだ早いわ！ てかその前にオフィス行くんだよ」
「あ、忘れてたわ」
「流石に嘘でしょ？！」
長い間、バイト先としても大学の先輩としてもお世話になっている方々。
別に辞める訳じゃないけれど、一つの節目として、乾にとっては来月からの勤務先として。
挨拶というか報告というか。
その時、スラックスの中で震えた端末に、取り出してメッセージを確認する。
『私も、直接言いたい事があるの』
文面から緊張がこっちにまで伝染する。
言われることは大体想像がついたけれど、あえて何も触れず『ん、分かった』なんてスカした返信をして。
いつもより少しハイペースの心臓には知らんふりをしながら、数歩先でこちらを振り向いて待っていた乾に「ごめん、行こ」と声をかけて背を押した。
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じばくスイッチ(プロフ) - ユメさん» そんな風に思って頂けたら……というコメントを頂戴して驚きと共に大変嬉しいです。ありがとうございます。きっと青春って甘くてきらきらしたものばかりじゃないよなぁという思いで書いておりました。こちらこそ、読んでくださり本当にありがとうございます。 (2023年3月10日 7時) (
レス) id: 3711322760 (このIDを非表示/違反報告)
ユメ(プロフ) - ほんの少し何かが違っていれば結ばれていたようで、でも何度やり直しても同じ結末を辿りそうな二人の関係が本当に切なくて美しくて、こんなに素敵な作品を世に出してくださった作者様に感謝です。 (2023年3月9日 21時) (レス) @page26 id: c6aaf0c2c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じばくスイッチ | 作成日時：2023年1月3日 23時
