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三問目。画面内の画面外の福良さんが、伊沢さんがボタンを押したところで問読みをストップした。
『その舌触りは「雪』
そこで「あ」と思った。たしかこの動画、この後福良さんの勘違いで一瞬すごい空気が流れたな、と。
けどそう思った時に、かつての事を思い出せはしなくて。
少しすると画面をタップして一時停止した彼女に、どうしたのかとそちらを見た。
「ね、航平兄ちゃん」
「ん？ 何、どうしたの？」
「……これってさ、どういう事？」
彼女が指しているテロップ。
それは『キスの舌触り…？』というテロップだった。
それによって、あの日、中二の夏休みに彼女と交わした会話が蘇る。
純粋が故の容赦の無さに直面したあの日のことが。
「……本当にわかんないの？」
「�狢膺佑砲覆辰燭蕕錣�る�瓩辰董△△瞭�航平兄ちゃん言ったよ」
「うん」
「私、お酒が飲めるくらい大人になった。でも、まだわかんない。だから──」
そこで一度言葉を切ったAは、俺の首に腕を回し、ずいっと顔を近づけた。
「……教えて？ お兄ちゃんが、私に」
分かってる、これは、彼女は分かってやっている。
キスの舌触りとは、舌を絡ませるようなキスとは何たるかを知っていて、それを俺に教えろと乞う。
成長して、知ったからこその容赦のなさ。「知らないからこその」では無かったのだ。知っていようがいまいが、昔から変わらない、容赦のなさ。
……何？ 俺の事好きなの？
奥歯をギリ、と噛んで、成人しても変わらない華奢な肩を押し倒す。
別にAなら、いいと思った。
「なら、はい。口開けて？」
控えめに開けられた口を、自分の唇で塞ぐ。
煽った割に差し出さない舌に痺れを切らしてまさぐれば、舌の先が触れ合った途端、ピクリと押し倒したままの肩が跳ねた。
……あー、これは。なんというかマズイかも。
一度唇を離し、その蕩けた顔を見下ろす。
濡れた瞳と乱れた息遣いは、従兄妹の一線と酔っ払いの理性を崩すには十分すぎる破壊力だった。
「……きもちい、」
「あーもうなんも言わないで」
──お父さんとお母さんには絶対内緒、ね？
あの日と同じ台詞を繰り返し、�狎紊兇錣雖瓩�感じられるキスをする。
もう何度目かも分からないキスの後。
二人を繋ぐ銀の糸が切れたのを見た時、自分の理性もプツリと切れる音がした。
⿴⿻⿸
搦め手、その三寸
──絡めて、舌先三寸で。
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作者名：じばくスイッチ | 作成日時：2022年8月6日 21時
