搦め手、その三寸／k-chan ページ3
⚠️こちらの話は『ラストキス〜最後にキスがつくクイズ〜』の動画の内容を含みます
未視聴の方はご注意ください⚠️
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俺が初めて「純粋が故の容赦の無さ」に直面したのは、確か中二くらいの時だったと思う。
夏休みのある日。
母方の祖父母の家に泊まりに行った俺は夜、子供にとってはそれなりに遅い時間まで、居間で休み中の課題をこなしていた。
その日は丁度、四つ下の従妹も泊まりに来ていて。
「小学生はもう寝なさい」という祖母に「んー」と生返事をしながら俺の向かいに座ってテレビを見ていた。
テレビはお笑い番組がついていた。
ゴールデンタイムを過ぎた時間帯、それこそ祖母が言うように小学生はもう寝ている時間で、小学生に見せる前提で作られていないネタだってある。
というかそもそもこの時間帯のテレビ番組なんて大半がそうだ。小学生には難しい。
内心ヒヤヒヤしながらも聞き流していれば、何も知らない彼女が口にした疑問は、俺がスルーしてくれと願っていた事だった。
「航平兄ちゃん」
「……んー？」
今度は俺が生返事をする番だった。シャーペンを握る手が変に汗をかく。
「今の�爛�スの舌ざわりがなめらか�瓩辰討匹ΔいΔ海函� チューするのに舌なんて関係ないよね？」
ポキリ。シャーペンの芯が折れて何処かへ吹っ飛んだ。
「……。大人になったらわかるよ」
「えー航平兄ちゃんでもわかんないの？」
「いや、俺は！ …………ま、うん、そう。なんでもない。
もう寝よ？ あと今の質問お父さんとお母さんには絶対しないで」
「なんで？」
「なんででも」
無秩序なテレビを消すと、未だ納得していない顔のAの背を押して居間から出た。
「あら航平、Aに寝るように言ってくれたの？ ありがとね」
「……ん。俺ももう寝るよ。課題だけ片付けてくる」
「そうね、もうみんなで寝ましょう」
「航平兄ちゃんおやすみー」
「おやすみ」
祖母に連れられて寝室へ向かっていくAの華奢な背を見て、俺は廊下で一人ため息を零した。
知らないからこそ容赦ないな、と。
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作者名：じばくスイッチ | 作成日時：2022年8月6日 21時
