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引越し前夜、彼からの「明日、寝坊しないように！！」というラインに「大丈夫だよ」と返し、結局三回目のモーニングコールで飛び起きた今朝。
彼が玄関に横付けしてくれた車にせっせと段ボールを運び込み、お母さんに「行ってきます」と手を振ってから1時間と少し。
近くのコインパーキングに停めて車を降りると、航平は伸びをしながら欠伸を零した。
つられて私も小さく欠伸をする。
「運転ありがとうございました」
「ん。まずは管理会社行って鍵もらってこないとね」
「うん」
通勤ラッシュが一段落した、人通りの疎らな朝の東京。
鍵を受け取りに行く片道10分ばかりの道のりで「はぐれると困るから」と手繋ぎを強請れば「繋ぎたいだけでしょ」と、私の照れ隠しを見抜きつつも指を絡ませてくれる彼に、私は結構本気で旦那さんになって欲しいと思っている。
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「ここ、案外いい部屋だね」
「でしょ？ 何件も内見して決めたんだもん」
だから、後ろ手を組みながら窓の外を眺める彼がぽつりと零した言葉に、心臓がトクりと跳ねた。
「俺もここに住もうかな」
「え……それって、」
──カシャン！
勢いよく振り向いたせいで、すぐそばにあった物干しラックが肘にぶつかって倒れた。
かけてあったハンガーも洗濯バサミも床に散らばって、小規模な上にあまりにみすぼらしい天の川が出来上がる。
「あーもーなにやってんの」
「うわー！！ 階下の人ごめんなさい！」
慌てて拾い集めていると、呆れていた彼もしゃがんで一緒に拾ってくれた。
……やっぱりなんだかんだ言っても優しいのだ。
一挙に持ち上げたハンガーを引っ掛けるのにやや手こずっていると、足元から「痛っ」と小さく声が上がる。
「何？ どうしたの？」
「ちょっと見てよこれ」
床に何か落ちていたのか、その声に誘われるままその場にしゃがみこむと──
「ん……？！」
唇が重なる。
ガチャガチャとプラスチックの擦れる音で騒がしかった部屋の中もシン……と静まり、自分の心臓の音ばかりがうるさい。
当然初めてじゃない。
初めてじゃないけど、視線のやり場に困って、結局瞼をギュッと強く下ろした。
それが口元にも伝染ったのか、気づいたらしい航平は顔を離すと「ふはっ」と吹き出す。
「ちょっと、笑わないでよ！」
「ごめんごめん、まさかそんな顔してると思わなくて」
「失礼！」
何でもなかったかのように落ちバサミ拾いを再開した彼は、全て籠に入れ終えるとその場に座り込む。
それに倣い私も膝を抱えて座った。
「……で、どうしたの？ 手」
「手？」
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??????_??(プロフ) - 初コメ失礼します。めっちゃ最高です🥹私はkochan推しなのですが、izwさんメインの『華胥之夢』が絶妙にエロくて刺さりましたwやっぱりizwさんとkwmrさんはQK二大お色気組ですよね！wこれからも引き続き楽しく読ませて頂きます♪ (2022年11月12日 22時) (
レス) @page49 id: 7968ecbec3 (このIDを非表示/違反報告)
じばくスイッチ(プロフ) - JACKさん» はじめまして、コメントありがとうございます。書き手様にそういって頂けると嬉しさもひとしおですね……！ これからちょこちょこと更新しますのでどうぞよろしくお願い致します。 (2022年7月23日 19時) (レス) id: 3711322760 (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - はじめまして。言葉と雰囲気が素敵でした！それぞれ御相手の個性がしっかり描けていて一気に読んでしまいました！更新楽しみにしてます！ (2022年7月23日 13時) (レス) @page27 id: ab0ec0b714 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じばくスイッチ | 作成日時：2022年7月19日 15時
