遷移無用／k-chan ページ25
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「これどこ置いたらいい？」
段ボールが、喋った。
……否、段ボールで自身が隠れるほど一度に沢山荷物を持った彼が、そう尋ねたのだ。
玄関からの短い廊下をちょこちょこと歩く姿が愛おしくて、思わず笑みがこぼれる。
なんて、凡そ手伝ってもらっている人間の態度として相応しくないかもしれないけど。
でも、そんな事が許されるくらい、私と彼とは気心の知れた間柄だった。
もう「はじめまして」からは十五年弱、航平を指す「彼」の意味が「He」から「Boyfriend」になってからはちょうど３年になる。
抱えたダンボールの横から顔を覗かせた彼は、私の表情を見るといつものように目を見開いて言った。
「ちょっと！ 笑ってないで！」
「ごめん、ごめん。その、端の方に──」
まだカーテンも着いていない１Ｋの部屋。
今からひと月ほど前に、大好きだった紺色のセーラー服にさよならを告げた私の、これからの生活の拠点。
大きな期待と確かな気合いとスパイス程度の一抹の不安に、ひとつ大きく深呼吸をする。
まだ物の少ないこの部屋は、そんな呼吸音ひとつでさえも反響するような気がした。
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四月から上京し、一人暮らしを始める私に「引っ越し手伝う？」と連絡をくれたのは航平の方からだった。
大きな家具や電化製品は新調するもの、レンタルするもの、併せて全て引っ越し先に届くように手配してもらったので、たいして大きな荷物は無いけれど。
それでも小物を纏めれば結構な量になった段ボールを新幹線で運ぶのは無理だから。
車を出してくれるという彼に、母は大層喜んだ。
「航平くん、本当にいいの？」
「はい、大丈夫ですよ。俺もどうせ大学休みなんで」
「ごめんなさい、私が休めないばっかりに」
「いえそんな。全然気にしないでください」
「このまま航平くんが旦那さんになってくれたら、私も安心なんだけど」と年頃の娘の前で言い放った母の言葉に彼は「満更でもなさそうな顔をしていた」とは、航平ママからの情報だ。
私は恥ずかしくてとても顔を上げられなかったから、彼がどんな顔をして「いえ、そんな、まぁ……いや……」と曖昧な返事をしていたかなんて知らなかった。
「Aちゃん、これからも航平のことよろしくね」
「えっ、いえ！ こちらこそよろしくお願いします！！」
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??????_??(プロフ) - 初コメ失礼します。めっちゃ最高です🥹私はkochan推しなのですが、izwさんメインの『華胥之夢』が絶妙にエロくて刺さりましたwやっぱりizwさんとkwmrさんはQK二大お色気組ですよね！wこれからも引き続き楽しく読ませて頂きます♪ (2022年11月12日 22時) (
レス) @page49 id: 7968ecbec3 (このIDを非表示/違反報告)
じばくスイッチ(プロフ) - JACKさん» はじめまして、コメントありがとうございます。書き手様にそういって頂けると嬉しさもひとしおですね……！ これからちょこちょこと更新しますのでどうぞよろしくお願い致します。 (2022年7月23日 19時) (レス) id: 3711322760 (このIDを非表示/違反報告)
JACK(プロフ) - はじめまして。言葉と雰囲気が素敵でした！それぞれ御相手の個性がしっかり描けていて一気に読んでしまいました！更新楽しみにしてます！ (2022年7月23日 13時) (レス) @page27 id: ab0ec0b714 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じばくスイッチ | 作成日時：2022年7月19日 15時
