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貴方side
その日から早くも2日が過ぎて、土曜日
窓から身体を照らすきらきら太陽の光
温かい…。
と思ったのも、束の間
肺が締め付けられるような痛さ
背中をつたるじっとりとした汗
今まで感じた事のない身体の痛みが、朝から私を襲った。
・
慧「A…!苦しい?大丈夫?」
母「……っ」
看護師さんと、お母さんと、慧くんと。
息を吸うたびに走る痛みが辛くて、まともに返事が来出来ないまま咳が続く。
『ゴホゴホッ…』
なんで。こんな時に限って。
せっかく外出許可が取れたと思ってたのに、海に行けると思ったのに。
慧「無理するなよ…、今日はやめて、安静にしてて」
心配しつつも、やっぱり出かけられないショックを滲み出してる慧くん。
嫌だ
絶対海に行きたい
今日だけ、今日だけは_______…
神さま、わがままを聞いて。
・
『嫌だ…大丈夫だから、っ海に…行きたい』
咳をこらえ、お母さんと慧くんに言う。
慧「……へ…!?
何言ってるんだよ、まだ日にちあるじゃん。そんな急がなくても…」
案の定、反対する彼。
やっぱり、ダメかな…
お母さんもどうせ反対する
そう、思ってたのに
母「伊野尾くん、」
ぴた、と
横にいたお母さんが、反対する慧くんの肩に手をのせる。
動きを止めてお母さんを見る、彼
・
母「…行ってあげて。
願いを叶えて、あげて…?」
悲しい目で、慧くんを見上げるお母さん。
あぁ…そっか
慧くんにはまだ言っていないこと、知ってるから…
慧「!?…でも、こんな辛そうで」
少しずつ顔を歪める慧くんの手を引く。
力が入らないけど、届いて。
『大丈夫だよ』
慧「A…」
母「大丈夫よ。この子こう見えて割と丈夫だから」
お母さんがさらに付け加える。
こんな状態で説得力ないのに、それを聞いて少し目を伏せた彼は
私の手を握り返して、ふわりと微笑んだ。
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あやか(プロフ) - こんな泣かないよってくらい泣きました。国語力なく誰のコメントも書いたことがなくさくらんぼさんが初めてで伝わりにくいかも知れませんがもう嫌とか人生嫌って人に見てほしいと思いました。生きたいけど出来ない人の辛さ分かりました。本当にありがとうございました。 (2017年4月4日 5時) (レス) id: 2f59a603bc (このIDを非表示/違反報告)
Blue White - 涙。何回読んでも泣けます!幸せな時間をありがとうございました。 (2017年3月12日 13時) (レス) id: 96f5815679 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - めっちゃ泣けました!! (2017年1月31日 18時) (レス) id: 445f9048f6 (このIDを非表示/違反報告)
潤純*(プロフ) - すごく感動しました。大切な人を失うことがとても辛く、悲しいことが改めて分かりました。私もこんなに自分を愛してくれる人を見つけてたいです。この小説を書いてくださり、本当にありがとうございました。本当にいい小説でした! (2016年11月26日 23時) (レス) id: 4cd23dc5db (このIDを非表示/違反報告)
ストロベリーkeiki - すごい涙が止まりませんでした。この作品を読むことができて良かったです。ありがとうございました。 (2016年11月26日 20時) (レス) id: 110dd33b09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*さくらんぼ* | 作成日時:2016年7月29日 22時