ふいに、キス Kei.Inoo

＊ ページ31

Aは久々にお母さんと出かけてるらしいけど


早く帰ってきてるだろうし、早く会いたい。






だから俺は、適当に昼食を食べてから、午後の授業には出ずに帰ってきた。









慧『…あれ、まだ…』






だけど、ぽつんとたたずむ玄関



赤いりぼんがついたおしゃれな靴はない。








________まだ帰ってないんだ









・







それから、そわそわしながらAの帰りを待った。






ソファに座っても5分しないうちに立って



たまに携帯開いたり。





メールも着信もなくて、少ししょんぼりする俺









慧『んー…ん。まだ……かなぁ』






時計は3時過ぎを指している。





久しぶりだから時間かかるもんなんだろーけどさ



身体の事も…ちゃんと気にしてよ






・







1時間……








2時間…………









慧『……はぁ』




数時間経つ。





テレビとか趣味で時間を潰すも、一向に帰ってくる様子はない。


メールもないし、電話もない。







もう外は暗闇に包まれてるし




本当に大丈夫か？何かあったのかな？


って頭に不安がよぎるが、流石に考え過ぎだと掻き消す。








だけど、もうAが恋しかった。









・









さらに時は過ぎ









時計は6時を過ぎた。







俺は、そこで初めて事実を知った。









なんで帰りがこんなに遅かったのか


なんでメールひとつもよこさなかったのか






ひとつの、控えめに響いた着信音で。









・







・









Aは入院することになった。

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