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慧「ただいま…」
貴『…』
ぱちっと電気をつけて明るくなる部屋。
でも、とても静かな部屋。
・
慧「……A?」
消え入るような小さな声が後ろから聞こえる。
いつの間にか慧くんを無視してドアノブに手をかけていた自分。
そんな小さなことでも気づく慧くんは凄いよ
…………でも、だめ
振り向けば彼に心配かけちゃう、それくらいひどい顔してる、今
貴『…ん。大丈夫! 視力がなんだろうと関係ないよ!
部屋で休んでるね!』
慧「……そっ か」
パタン
____________________
貴『……ぃや…』
閉まったドアにずるずると座り込む。
いやだ
怖い
なんで視力まで奪っていくの
なんで他にも影響をもたらすの
少しの幸福も与えてくれない__________
・
もう頭の中がぐちゃぐちゃだった。
ただただ悲しくて、怖くて
自分の運命を恨むほど…
もっともっと視力が低下して、周りも見えなくなって
さらには慧くんも見えなくなってしまうんじゃないかって
最初に思ったのが、それだった。
死ぬのはもちろん怖い
だけど、その前に慧くんを見れなくなってしまうのが1番怖かった。
・
・
慧「……A、」
ドアを壁にうずくまっていると、扉の向こうから慧くんの声。
すぐハッとなって顔を上げた。
・
貴『……なに?』
慧「視力はちゃんと回復するよ。
だから…深く考えるな、」
貴『…、』
優しく励ますその言葉は、
少し鼻にかかったようなぐずついた声。
まさか慧くんも………
な、わけないよね
貴『……ありがとう…
ごめんね…』
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あやか(プロフ) - こんな泣かないよってくらい泣きました。国語力なく誰のコメントも書いたことがなくさくらんぼさんが初めてで伝わりにくいかも知れませんがもう嫌とか人生嫌って人に見てほしいと思いました。生きたいけど出来ない人の辛さ分かりました。本当にありがとうございました。 (2017年4月4日 5時) (レス) id: 2f59a603bc (このIDを非表示/違反報告)
Blue White - 涙。何回読んでも泣けます!幸せな時間をありがとうございました。 (2017年3月12日 13時) (レス) id: 96f5815679 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - めっちゃ泣けました!! (2017年1月31日 18時) (レス) id: 445f9048f6 (このIDを非表示/違反報告)
潤純*(プロフ) - すごく感動しました。大切な人を失うことがとても辛く、悲しいことが改めて分かりました。私もこんなに自分を愛してくれる人を見つけてたいです。この小説を書いてくださり、本当にありがとうございました。本当にいい小説でした! (2016年11月26日 23時) (レス) id: 4cd23dc5db (このIDを非表示/違反報告)
ストロベリーkeiki - すごい涙が止まりませんでした。この作品を読むことができて良かったです。ありがとうございました。 (2016年11月26日 20時) (レス) id: 110dd33b09 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*さくらんぼ* | 作成日時:2016年7月29日 22時