ふいに、キス Kei.Inoo

＊ ページ14

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慧「あぁーっ めっちゃ良かったぁぁ」





ぐいーっと長い腕を天井に伸ばす彼。





その後ろ姿をよたよたと追う自分…






慧「ん、A？どしたの」






・







………あぁもう






貴『めっちゃ泣けたぁぁーっ』




慧「へ、うわ」







ボロボロと出てくる涙。





見た作品は、友情がメインの切ないストーリー。

もう亡くなっている少女と、心を閉ざした少女のお話だった。







慧「やべぇ涙が…はいハンカチ…っぶはっ」





貴『う、っ笑わないでぇ……』






ケタケタ笑う慧くんから青のチェックのハンカチを借りて涙を拭く。






すると、片方の腕を掴まれた。






・







貴『へ、』





慧「ね、ついてきて」






、？






そのままくい、と引かれた腕。



頭にハテナマークが浮かぶ中、慧くんについて行く。






・









貴『……え、なに… 慧くん』




慧「今度は俺が気になったやつ」




引かれて行った先は、また係員さんのとこ。







慧「2枚お願いします」



係員「はい、どうぞ」







え



え、









貴『また…見るの？』





2枚の小さな紙をポケットに入れた彼の背中に問いかける。








慧「ふふ、ばれた？

…これさ、俺らと似てんの。」





そう言ってピラッと見せてきたパンフレット。






それは、テレビのCMで何度か見て聞いた作品だった。

難病を抱えた少女と、その少女に恋をしている男の子の奇跡の恋物語。







貴『……これ…』






慧「内容が似てるしょ？見る面には悲しいんだけど、奇跡があり得るなら…て

勝手に連れてきてごめんね」






……慧くん…







貴『…ううん。ありがとう、見よう』







・



・

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