39話[過去編] ページ41
養護教諭『黒尾、運んでくれてありがとね。
鵠にはちゃんと、私がついとくから
アンタは試合頑張んなね。』
黒尾『はい。
…Aの事、よろしくお願いします。』
そう言って頭を下げてから
会場へ小走りで戻って行った黒尾は
心配 傍にいたい 本当ならついて行きたいって、
そんな顔をしていたから
あぁ、鵠の事が本当に大切なんだなと思った。
養護教諭『よし、行こうか。』
先程泣いて少しは落ち着いたのか、
目を赤くした鵠がｺｸﾘと小さく頷いたのを合図に
車を病院へ走らせた。
養護教諭『＿ごめんね、鵠。
昨日の時点で、怒鳴りつけてでも
アンタをすぐに病院へ行かせればよかったね。』
A『…先生。』
養護教諭『ん？』
鵠は、いつもの声とは比べ物にならない位に
か細い声で、弱々しく私を呼んだ。
A『俺ね、一昨年まで 姉ちゃんいたの。』
そこから鵠はぽつりぽつりと、話し始めた。
鵠には 血の繋がりはないけど、とても可愛がってくれた
義理の姉がいたらしい。
父親の再婚相手の連れ子で、
人見知りだった小学生の時の鵠に心を開いてもらう為に
不器用ながらも頑張っていたそう。
A『両親2人とも、仕事が忙しくて家に基本いなかった。
ご飯は母さんが作り置きしたのを姉ちゃんと一緒に食べてた。
平日の学校行事には当然親は来れなくて
その時は幼馴染の親が、俺の事も一緒に面倒見てくれてた。
姉ちゃんは、平日の行事来れない代わりにって
休日の行事は絶対に予定空けてくれて、中学の入学式も姉ちゃんがついてきてくれてた。
試合にもよく応援に来てくれてて、
料理苦手って言ってたのに、休日に試合がある日は頑張ってお弁当作ってくれたりもした。』
そんな弟思いの優しい姉は、鵠が中学二年生の時
交通事故に巻き込まれて亡くなったらしい。
今も生きていれば、私と同じくらいの年だった。
A『＿でさ、その姉ちゃんも結構ギャルで
先生と似てたんだ、雰囲気とか 話し方とか…
だから、俺多分
先生を無意識に 死.んだ姉ちゃんに重ねちゃってたんだ。
自分でも脚が限界な事に気づいてたのに
先生との約束破って、無理矢理 試合、続けて…っ』
養護教諭『そんなに想ってもらえてる鵠の姉ちゃんは
幸せだねえ』
まだ高校1年生の子供が背負っていた悲しい過去
私は、泣き出す鵠の頭をただ撫でることしか出来なかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 876人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
キクラゲ(プロフ) - ナノハナさん» ナノハナさん、コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても嬉しいです！(^^)更新頑張っていきますので、これからもぜひよろしくお願いいたします。 (3月11日 7時) (
レス) id: c522cf4b3f (このIDを非表示/違反報告)
ナノハナ - 初コメ失礼します！この作品めっちゃ面白いです！！続きがとても待ち遠しくなります！頑張ってください！応援してます！ (3月10日 17時) (レス) @page21 id: 137f80559f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：キクラゲ | 作成日時：2024年3月6日 7時
