令和の巫女が、大正で剣士に転職する話。【鬼滅の刃】

第四話『その顔でモテる？』 ページ5

『ひぇぇぇもう何ここ無理無理死ぬって私』



誰の声もしない、明かりは月だけが頼りの暗い森の中。時折がサッと揺れる草むらにでさえ、驚いてしまう。もう無理じゃん私。お化け屋敷無理なんだよ。

修学旅行でお化け屋敷に行って、怖すぎてお化け役の人蹴り飛ばした私舐めんなよ？？

もはやさっきから無理無理無理なんてお教を唱えてしかいないけど。だだ誰か私のお墓作ってね？？



『死ぬってマジで...何やねん鬼って。鬼さーん、遊びましょ〜...』



ていうか誰もいないんだけど。鬼ってあの童話みたいな可愛い鬼だよね。遊ぼーよ！みたいな感じで可愛く声かけてくれたら



「遊びましょ．．．グへへ...」

『可愛くないから遊ばんわ』



気味の悪い...まるで体の芯が凍るような声が背後から聞こえて、冷静にツッコんだ後恐る恐る後ろを振り返る。



『...ひっ、』



現れたその姿を見て、思わず短い悲鳴が漏れた。尖ったキバ、蛇のように長い舌、明らかに人間とは違う灰色の肌の色、肌に浮かび上がった血管、そして血走った目...。

姿は人間のようなのに、明らかに違う。こんな醜い生き物、見た事ない。



《この藤襲山には、鬼殺の剣士様方が生け捕りにした鬼が閉じ込められており...》




...鬼。そんな漢字一文字が、私の頭に浮かんだ。



「ハアっハァ...久しぶりの人肉だ...こいつはご馳走だぜ...」

『...き、』

「あ？」

『キモｫｫｫｫｫ！！！誰やねんお前！！！』

「...は？」



私の叫び声に、よだれを垂らして近付こうとしていた鬼はピクッ、とその場で固まった。

その間に、私はマシンガントークを鬼にお見舞いする。



『何なのお前！！！突然変異の化物か！！！キモっ！！どーせ彼女いないんでしょ！！一生モテないわてめｪｪｪｪ！！！』

「あ"あ"ん！！？？何を根拠に言っとんじゃボケェｪｪｪｪ！！！」

『顔』

「最低だなオイ！！！これでも一応モテた方だわ！！」



え。その顔でモテたの...？こっわ...とドン引きする私を前に鬼は「もういいわ！！」と怒鳴り散らして舌なめずりする。



「お前、よく見たら稀血かぁ...？こりゃいい。さっきのツケで頭からむさぼり食ってやんよ」

『せめて丸呑みでお願いします』

「アホか」

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