【歌い手】雨のち雨【男主】 (ページ24)

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信用ページ24

誰かが僕を呼んでいる。誰かは分かんないけど声がする。

その声は次第に大きくなり、気付けば僕の頭上にあったガゼボ、座っていたベンチがどんどん消えていく。

『待って…消えないで！まだここに…』

その声は虚しく暗闇に消えていく。

その場に座り込む。豪雨のせいか、すぐに気を失いそうになる。

『あれ…？』

坂「あ！雨宮さん、おはようございます！まぁ、もう夕方ですけどね」

そこには、あははと笑う坂田さんがいた。

坂「もう心配したんですから～。ここ、2～3日ずっと寝てましたよね！」

『そうなんですか…』

どうやらまた、迷惑をかけていたようだ。今度は坂田さんに。

『すみませんでした。もう、大丈夫なん「何かあったんですか？」で…』

普段はあほとか言われてるけどこういうときに限って察しがいいよな…

『別に大丈夫です』

坂「ん～と…あまり溜めない方がいいですよ？何かを吐きださなきゃ溜まる一方ですから。俺はそうやってメンバーとか、周りの人に助けてもらってるんで」

『……』

坂「それに、俺とかみんなを頼ってください！真冬とコラボしたんですよね？動画、あがってましたよ」

『頼る？誰を？みなさんを？信用もしてない人を頼っても意味ないですよ…』

そうだよ。僕はどうせこういう人間さ。人を頼れない、ダメな人間さ。

坂「俺は雨宮さんのこと信用してますよ？」

『え…？』

坂「まず、信用してなければこんなに心配してないですし、雨宮さんも俺とこんな風に会話なんてしてないし、すぐ追い返してるはずです」

『それは…』

坂「すぐにとは言いません。ゆっくりでいいんですから」

図星すぎて何も言えなかった。もしかしたらどっかで、坂田さんを信用している自分がいるのかもしれない。けど、それを認めたくない自分もいた。

『生放送』

坂「え？」

『コラボはしないですけど、今日のお礼です。生放送なら一緒に出ていいですよ』

坂「え！ほんとですか！ヤッターー！」

ガッツポーズをする坂田さん。そんなに嬉しいんだ…

坂「じゃあ早速しましょう！」

『え？』

本日2回目だよ。

坂「だってまた、寝るかもしれないじゃないですか！」

「行きますよ～」といい僕を引っ張る坂田さん。

モヤモヤしてた気持ちが少しだけ、ほんの少しだけ、晴れたような気がした。