【歌い手】雨のち雨【男主】 (ページ2)

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雨ページ2

『あれ…どこだ…』

体はびしょ濡れで、体温は冷えきっている。雨が降っていた。

でもここは普通の世界じゃない。きっと、夢の中なのだろう。

何もかもが黒く染まっていた。しかし、一本の道があった。

その道は白い石でできていた。石の上で弾かれた雫はどこに繋がっているのかもわからない闇に落ちて行く。

寒い。
早くここから出たかった。

気を失いそうになると同時に目が覚める。

『またか…』

最近ずっとこの夢を見る。自分が何かをした覚えは無いのに。

魘されている訳ではないが、起きたら体が冷えているのが不快だ。
まぁ、現実には支障が出てないからまだいい。

目覚めたのは午前10時。カーテンを捲ると雨が降っていた。

周りには物が散らばっており、どうやら作業したまま寝たらしい。

歌い手を始めてもう2年が経つ。赭刃という名前で活動している。

それなりに、再生回数は稼いでいると思う。
でも、公式には一切出ない。始めた時から決めていた。

しかし、最近コラボのメールが来るようになった。これも断っている。外に行くのはめんどくさいし、会っても話せないし。

どうせ今日も来てるんだろうな、メール。