【銀魂】桜なんて可愛いモンじゃねェ

第五十三訓 ページ4

.


そのまま着替えてご飯も食べて、ご飯食べてる時も何も変わった様子のない銀時
私も一応何も知らぬ素振りをして「いつも通り」を意識しておく。


湯浴みも終わり、いつもなら3人の中で誰よりも早く真っ先に寝付いてるはずの銀時
今日ばかりは何か変化があるのだろうか、なにか企んでいたようだし…。


「見に行くか…」


気になってしまい素通りするつもりだった銀時の部屋の前で思わず立ち止まる。
そぉ、と覗いたアイツの部屋は月光が静かに差し込むだけで、肝心のバカの姿がどこにもいない

……そしてあいつの木刀も行方不明。


月光が差し込む窓際から、入り込んでいるのは光だけではなく「風」も入り込んでいた。


「窓…」


ポツリと呟いた声は、私以外誰もいない薄暗い廊下に吸い込まれてしまうくらい小さかった。


気になったその窓の外を除くと足跡。

先生にバレるのを避けるため出入口の使用を止め、ここから出てったのか…


「…よし、チクるか」


確証がもてたなら、もう気にしてやる必要は無い。サッサとチクろ。

チクんないわけがないでしょ
てか、先生なら銀時が何か企んでることくらい簡単に気付いてると思うし


…役人が来るとしたら奉行所の方向

最悪の場合先生の捕縛も考えていると思うから数人が佩刀した状態で向かってるはず…少し厄介。

…松下村塾は士族が住んでる集落から農村地帯を通らない道は一本道のみ。
人目に付くのはあちらとしても得策じゃないんだし、ほとんどの確率であそこを通るはず。

役人が通る道は1つに絞れた


銀時が役人を止めに行った場所は…
いや“バカ御三家”がやらかしに行った場所は、その一本道のどこか。

そうと分かれば、と窓から零れる月明かりに背を向けて小走りで廊下を抜けて先生の部屋へ向かおうと振り向いた


が、一歩踏み出すより先にこちらに向かう先生の姿が見えた。
私に気付くと柔らかく、いつものような穏やかな笑顔を浮かべた


…でも服装は外行きのもの。加えて珍しく佩刀している


松「もう夜更けだと言うのに銀時が見当たらないので…少し外に見てきます。」

「先生、銀時が何しようとしてるか分かってるでしょ」

松「ええ。だから止めてきます」

「…そ、」


踵を返し先生に背を向ける

さも部屋に帰るような動作だが悪いけど誰も私がいい子だなんて言った覚えはない


ニヒリと笑みを浮かべ、1度そむけた顔をまた先生に向ける
つい最近習得したウインクをしながらただ一言。




「んじゃ、お先に」

第五十四訓→←第五十二訓

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す