第五十一訓 ページ2
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発言内容か、撫でた事か、はたまた態度か癇に障ったらしく
無言のまま、ただ分かりやすく聞こえた「ブチッ」という音ともに脇腹をド突かれたのはいうまでもない。
うぐぇッ!? なんて女っ気もない。むしろ人の声とも思えないくらいの声が出た
そのまま崩れ落ちるように脇腹を押さえ蹲る
「い、いてぇ…ちょ、ごめんて…。そんなド突く?」
嘔気を催しかけたぞ…だいぶ時間が経ったお昼ご飯がリリースされるところだった。
プルプルと震えながら体勢を立て直しつつ文句を零すと「テメェが悪い」と一言で一蹴された。
「何をやってるんだお前達は…」
恨めしく銀時をジト目で見つめていたら横から、横にある庭先から小太郎がこちらをみて呆れ顔を浮かべていた。
「ちょっと調子に乗ったら銀時にド突かれた」
銀「馬鹿に馬鹿にされたからド突いた」
桂「なんだそれ…」
一層呆れられたため銀時と一緒に小太郎の方に向き直り並んで軽く肩をすくめる。
「お前らなんなんだ!仲良いのか?悪いのか?」と突っ込まれたが私の方が聞きたい
これは仲良い…のかな?今しがたド突かれたばっかりだけど
「そんなことより、こんな時間にどうしたの?私たちももう練習終わるよ?」
とりあえず本題に移ろうと話を切り返すと小太郎は先程までの呆れ顔からハッとしたように面持ちを変える
それも苦々しい、難しい顔。どう考えてもいい話をしに来た訳では無いようだ。
いつものお巫山戯で聞いていい話ではないなと私も銀時も察し
庭先に置いてある草履を履いて小太郎の傍に寄るため、外へ出る。
さっきまで明るかった夕暮れは時に流されるように薄暗くなっていく。
砂利混じりの地を踏み、微かに鳴る音を耳にしながら寄ると小太郎は「…ふぅ…」と短く溜息を吐いて口を開き始めた
桂「役人達が先生に…松下村塾に目をつけた。
恐らくこの間の講武館の連中が難癖をつけ、動かしたのだろう。
…今夜にでも此処から去るべきだ。急いで支度した方がいい。」
重々しく言われたことは突拍子もないはずなのに私は偉く納得した。
晋助があのボンボン共と一緒に消え、どちらも此処に戻らなかったのは晋助がボンボン共をシバキ倒したから
ボンボン共をシバいた理由もコレか。
常にボンボン共の中心に立っていた男のあの高慢さ。
きっとこの事実を満足気に晋助に語ったんだろう。
今日の悩みが全て腑に落ちた。
腑に落ちないはずの、横暴な事実を目の前にして何故か、私はスッキリしていた。
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寧々 - 文章のひとつひとつが丁寧で全体的にとても綺麗な作品だな、と思いました…。初めの頃より少し髪が伸びましたね。この先も彼女の成長を見ていきたいです。 (2023年3月22日 18時) (レス) @page46 id: 64f7a4220b (このIDを非表示/違反報告)
りゅーり - 久しぶりにこの作品読み返しまた!更新楽しみにして待ってます! (2022年8月11日 23時) (レス) id: ccd8abd8be (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ-(プロフ) - 峰さん» コメントありがとうございました。コメントがあると戻らねば、と思うので多忙でも更新欲が湧き、励みになります。短く真実のみの原作を私なりに夢主の視点で広げてまいりたいと思いますのでゆっくりお待ちください (2022年5月26日 23時) (レス) id: 7433db5bad (このIDを非表示/違反報告)
峰 - 面白いです! (2022年4月4日 0時) (レス) @page41 id: 3035439a9e (このIDを非表示/違反報告)
睡-スイ-(プロフ) - こっぺぱんさん» お待ちくださりありがとうございます。遅くなりましたが再始動していこうと思います!それでもゆっくりな更新となりますがどうぞお付き合いいただければと思います!! (2021年10月4日 19時) (レス) id: 7433db5bad (このIDを非表示/違反報告)
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