7.私の願い ページ7
あの景色がまた、目の前に広がっている。
でも意味ないんだ。君が隣に居なきゃ、この景色は成り立たないんだよ。
最も重要なピースが欠落したパズルのよう。大きな消失感に飲み込まれそうだ。
心の雨予報を信じたくなくて、私は空を見上げた。
私の心全てを見透かし、優しく包み込むように瞬く星達。
私の目から零れた光が夜空に落っこちて刻まれた跡。
それは儚い輝きのようだが、気高く美しい。
私は願う。
「もう一度だけあの人に会わせてください」
3回、言った。
こんなにたくさん流れているのだから、きっと届くはずだ。
・・・お願い。
ザッザッ。
木々をかき分けて誰かが丘を登ってきているようだ。
足音が止まる。私は振り返ってその姿を見た。
君だ。君が立っていた。
願いが届いたんだ。私は喜びで胸がいっぱいになる。
君が近づいて来る。
あぁ、最初に放つ言葉は何だろう。何も考えていなくて。
ごめんね。ありがとう。来ると思ってたよ。遅いよ、バカ。
たくさん思い浮かぶのに、選ぶことはできなくて。
君から声を掛けてくれないだろうか。
そう思いながら君を見つめた。
しかし君は何も言わず、目も合わせずに私の前を通り過ぎた。
そして、言葉を紡ぎ出した。
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作者名:桜覇 | 作成日時:2019年2月10日 12時