5.景色 ページ5
頂上に着くと、真っ黒なキャンパスに映える鮮やかな光の数々。
町の灯りと星の輝きが一面に広がっているんだ。
「・・・・綺麗」
この景色を見る度に私はそう呟く。何度見たとしても、初めて見た時と同じ感動を覚えるのがこの景色なんだろう。
「あっ!流星!」
君がそう言ったので、慌てて空に意識を集中させたが、もう跡形なしのキャンパスに戻っていた。
「ちゃんとお願いしたの?」
「いや、速すぎて無理だった・・。次こそは!」
空を見上げながらそんなことを二人で話していると、一筋、白い光が線を描き黒いキャンパスに溶けた。
それを合図に線が次々と現れ、描いては溶けていく。
「何をお願いしたの?」
君がきいてきた。
「秘密」
「えー。じゃあ・・・俺の隣の人の願いが叶いますように!」
君が空めがけて叫ぶ。白い光とともに消えていく。
「ちょっ、何それ!恥ずかしい!」
なんでこんな時まで、君は"誰かのため"なんだ。
私は戸惑いと恥ずかしさと嬉しさが心のパレットで混ざり合って、上手に描けなくなる。
「あっ!3回言ってないね。俺のとn」
「言わなくていい!」
慌てて遮る。それでも君が言おうとするから、口を塞ごうと近付いた。君は走って逃げだす。
「あははっ!俺を追いかけてる人の願いが叶いますようにー!」
「それ、流れ終わるまでに3回言えてないでしょ!」
「いいの!いっぱい流れてるから!」
笑いながら走って逃げ回る君。追いかける私まで笑ってしまってる。
そのうち疲れて、仰向けになって寝転んだ。
「あの流星まで届けー!」
空に翳した手と君の声。
少しずつ薄れゆく。
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作者名:桜覇 | 作成日時:2019年2月10日 12時