三話 ページ4
「と、兎に角！ 行きましょう！！」
僕の前を震える足で進むこんのすけさん。
取り敢えず、その後ろを僕を着いていく。
だが、
((ﾋｭｯ
「･････え？」
突然僕の顔の横を高速で通過した何か。
目線を後ろに向ければ、木造の扉に刺さる刀。
頬に少しピリつく様な痛みを感じ、触れてみると、手についたのは己の血。
理解することが出来ず、取り敢えず顔を前へと戻してみると。
青い着物に身を包んだ、この世の物とは思えない程美しい男がそこに居た。
「綺麗だ････」((ﾎﾞｿｯ
「審神者様？！だ、大丈夫ですか？！」
「え、あぁ。うん」
慌てふためく、こんのすけさんとは対称的に、目の前の男は静かに僕を見据える。
「こんのすけさん。あの人は？」
「あの方は、三日月宗近様と申しまして。この本丸を纏めてらっしゃるお方でございます」
「お偉いさん？」
「そんな感じです」
本丸のお偉いさんに刀を投げられるってことは、少なくとも歓迎されてないってことだよな。
でも、
もう一度、こんのすけさんから三日月宗近へと視線を戻す。
彼の姿には、何故だが妙に懐かしさを感じる自分が居て、僕は首を捻った。
「人の子よ」
冷たい声が静寂を切り裂く。
「此処はお前が来るべき所では無い。 帰れ」
冷ややかな視線。
邪魔者を見る目。
突き放すような声。
「三日月宗近様！ こ、この方は本日よりこの本丸の審神者になられたお方です！ 」
「この本丸に審神者は必要ない」
「ですが、それは政府が許さぬと分かっておりましょう！」
「････ｯ」
苦虫を噛む様に目の前の男の顔が歪む。
その表情にも見覚えがある。
『Aよ！ その蛙を今すぐ退かせ！』
『宗近兄ちゃん、蛙怖いの？ 食べる？』
『食べぬわ！！こ、こら！近づけるでない！』
「ｲｯ!!」
「審神者様？！」
覚えのない記憶がフラッシュバックする。
耐えられない頭痛に僕は膝を付き、その場に蹲った。
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