十六話 ページ17
〜貴方side〜
「それでは、お昼ご飯も終わったので、そろそろ掃除を始めようと思います！」
宗近兄ちゃんと長谷部を前に、僕は箒片手にいう。
「主様。何故、貴方まで箒を持っているんですか？」
「ん？何故って、僕も掃除するからだよ？」
「あ、主様にそんなことはさせられません！！！」
前のめりでそう言った長谷部は、僕から箒をぶん取り、背中へと隠した。
「皆でやった方が早く終わると思うんだけど･･･」
「では俺が、主の分も働きます！」
「そういう問題か？」
何となく説得を試みたものの、結局長谷部の口には勝てず、僕はこんのすけと庭で草むしりをする事になった。
長谷部は本丸のあらゆる箇所を掃除していくらしい。
さっきから、凄い物音が本丸の中から聞こえてくる。
そして、宗近兄ちゃんはと言うと。
「いや、サボるな」
「じじいには、こまめな休憩が必要でな」
「。。。。」
と言って、縁側で茶を啜り始めている。
掃除開始5分。
流石に早すぎる。
「流石に長谷部1人じゃ大変だろうし、こんのすけさーん！」
「はい！なんでしょう！」
「ちょっと長谷部の手伝いしてくるから、宗近兄ちゃんに庭掃除させといて」
「わ、わたくしがですか？！」
「うん。宜しく」
そう言ってこんのすけさんに背を向けると、何やら苦しげな声が聞こえてくる。
だが、今は致し方ない。
許せよ、こんのすけさん。
本丸を探検しながら長谷部を探していると、一室から物音が聞こえてきた。
何の部屋だろうか？
そんなことを思い、ふすまを開けてみた。
「消えろ」
「え、うそ？！」
僕の体を切りさこうとした何かを間一髪で避けたものの、足首を捻り、その場に倒れる。
ズキズキと痛む足を摩りながら顔を上げると、
そこには、所々が赤色に染まった白いお兄さんが立っていた。
血の匂いが鼻につく。
脇腹を抑えながら僕を見下ろす彼の足元には、血溜まりが出来ており、体は左右に揺れている。
「怪我････してるんですか？」
「だったら何だって言うんだ。 人間は、とっととこの本丸から出ていけ」
光のない瞳が僕の姿を捉える。
まるで、僕の存在を否定するように、冷ややかな瞳で。
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