十一話 ページ12
〜貴方side〜
静かに涙を流した宗近兄ちゃんに、僕は驚きながらも手を伸ばした。
きっと何か訳があったんだ。
何度も何度も謝る姿を見ていたら、嫌でもそれは分かる。
だけど、
「A、どうしたら許してくれる････」
「それは････」
「お前が望む事なら何でもしてやろう！ 」
昔もそうだったな、この人。
人にお伺いをたてている様で、全く話を聞いてない。
「何も、して欲しい事なんてないよ」
「････ｯ。そうか、、、」
僕達二人の間に流れる沈黙に居心地の悪さを感じる。
分かりやすく肩を落とす姿を見て、ズキンっと胸が痛む。
「････。一つだけある･･･かも」
「?!な、なんだ！なんでも言うといい！」
前のめりで僕の言葉を待つ宗近兄ちゃん。
そんなに期待されても困る。
「政府からの命令で、この本丸の審神者にならなきゃいけない。 右も左も分からないし、正直心細いから････だから、僕の傍に居てサポートして欲しい」
「ん？ 勿論、最初からそのつもりだ。 故に、それはお前の願いには入らんよ」
僕の頭を撫でながら、そう言って微笑む宗近兄ちゃん。
この人の笑顔は本当に綺麗だ。
サラッと傍にいる宣言してくるし、本当に昔から敵わない。
「そう････じゃあ、お願いはないね」
「何故だ？！ 何かあるだろ！もっと考えてみよ！」
「あぁ！！！もう！無いんだってば！ また思い浮かんだ時に使うから、今は良いだろ！！」
「･･･。あい、わかった。」
本当は一つだけあった。
子供の頃に約束したことが。
"結婚"
してくれるって言ってたけど、それが叶わない事は流石に分かる。
男同士だし、
ましてや、相手は神様だ。
きっと無理だ。
これを口にしてしまったら、きっと彼を困らせる事になる。
「どうした？」
「別に。」
「まだ怒っておるのか？」
「当たり前の事、聞かないでくれないかな。三日月宗近さん」
「その呼び方は嫌だな。 昔と同じ呼び方にするとよい。」
「何で上から目線なんだよ」
恨んだいたはず、
嫌いだったはず、
なのに、
やっぱり俺は彼が好きだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 261人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
