【世界一初恋】貴方の瞳に映らなくても【男主】 (ページ8)

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8話ページ8

結局お風呂を借りた僕は、用意されていた服を着て、今リビングのソファーに座っている。

今日一日、本当に色んなことがあった。

というか、予想外の出来事が多すぎた。

自分の頭だけでは整理しきれない程の事ばかりで、キャパオーバー寸前だけれど、一番の驚きは、初恋相手が傍に居て、生きてるってことだ。

高野政宗････

あの人がずっと小野寺律を好きであることは言うまでもないこと。

ちゃんと理解しているし、分かっている。

今日してもらった優しさも、きっと俺が異動初日で泣いたことが理由だろう。

冷たい人に見えるけど、実は優しい人だから。

「眠たい････」

高野さんがシャワーを浴びている音がする。

まだ寝てはいけないと頭では分かっていながらも、落ち始めた瞼は言うことを聞いてはくれなくて。

ヤバい、もう限界。

暗くなった視界と共に僕の意識はプツリと切れた。

〜高野side〜

変わった新人が入ってきた。

営業部で横澤と並ぶ営業成績を出していた若手。

ソイツが何故だか、エメラルド編集部に異動となった。

第一印象は、嘘くさい笑みを浮かべる若造。

当たり障りのない挨拶をして、後は小野寺にでも押し付けておこうと思った。

けれどソイツは、俺が名乗った瞬間目を見開いて固まり、その場にしゃがみ込んだ。

「おい、どうした！」

慌てて駆け寄った俺と目が合う。

自然と流れていた涙が目につき、手を伸ばそうとした。

けれど、

「問題ありません。少し失礼します。」

それだけ言って、西岡は部屋を出ていった。

「何だ、アイツは」

「何時もはあんなんじゃないんだけどな〜」

「井坂さん。部下の管理くらいちゃんとしてもらえませんか」

「いやいや！本当に抜け目の無い優秀な子何だって！今日は体調が悪かったのか？」

ヘラヘラ笑ってそういった井坂さんは、結局(「後はよろしく」とだけ言ってフロアを出ていった。

それから数分後。

嘘くさい笑顔を浮かべて戻ってきた西岡に説教をし、小野寺に仕事内容を教えるよう振った。

それから何時も通り、目まぐるしく時間は過ぎて行き気づけば時計は22時を指している。

他の奴らは既に帰宅している中、今日異動してきたばかりの西岡は一人デスクに向かっている。

期待の新人は仕事への姿勢も違うってか。