【世界一初恋】貴方の瞳に映らなくても【男主】 (ページ7)

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7話ページ7

どれだけ頭をフル回転させても、逃げ道が見つからない。

ソファーに足を組んで座る高野さんと、その下で正座をする僕。

罠にかかった兎とは、こんな気持ちなのだろうか。

「お前もしかして、ストーカー？」

「ち、違います！それは断じて違います！」

「じゃあ、何で俺の事そんなに知ってんの？」

「それは･･･」

何て答えるのが正解だろうか。

というか、この回答に正解はあるのか？

ないよな？！

絶対ない！

「その･･･雰囲気と言いますか･･･顔立ちとか、こ、声とか？」

「何で疑問形？」

「言い切れる雰囲気じゃなかったので」

取り敢えず答えてみたものの、自分でも訳の分からない事を言っている気がする。

上から注がれる視線から逃げるように、顔を伏せたまま僕は肩を狭めた。

どうにか此処から抜け出したい。

いっその事、小野寺さんを呼ぶか？

高野さんと話している姿を見るのは、あまり気は進まないけれどこの状況、致し方ない。

「今、何考えてる？」

「別に。なにも」

部屋の雰囲気や高野さんが発しているオーラを感じとるに、此処にいる事はきっと間違った選択だと分かる。

やはりホテルに行こう。

それが無難で絶対に間違いない。

「高野さん、やっぱり僕ホテルに泊まるんで･･･もう帰っていいですか？」

「なんで」

「いや･･･今日配属されたばかりなのに、これ以上迷惑は掛けられないと言いますか･･･色々と整理した方が良いといいますか･･･」

「整理ってなんの？」

「今までの会話のですかね？」

視線を上げずに言葉を交わしていると、等々高野さんがソファーから立ち上がった。

軋む音と共に影が差す。

気持ち悪いと殴られるだろうか。

何て事を考えていると、突然頬を掴まれ顔を上げられてしまう。

さっきまで合わなかった視線が交わる。

予想よりも近い距離に、息が止まる。

「もう夜中の2時。一人でホテルとか、危ねぇだろうが」

「いや、でも･･･」

「編集長命令。この話はもういいから、とっとと風呂に入ってこい。服は扉の前に置いておく」

僕の返答など聞く気が無いと言わんばかりに、高野さんは別の部屋へと姿を消した。

僕はと言うと、触れられた頬が火傷したかのように熱を帯びている。