【世界一初恋】貴方の瞳に映らなくても【男主】 (ページ4)

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4話ページ4

どういう流れか二人で帰ることになった本日。

電車でも隣同士。

歩く時も隣同士。

けれど大した会話もない。

好きな人が隣で呼吸して、隣に存在してくれるだけで凄く嬉しいけれど･･･

僕はどうにも気まづい雰囲気が苦手な様です。

そして駅から少し歩いた所で、ようやくマンションに到着。

おぉ、アニメで見たまんまだ。

聖地巡礼している気分になりながら、僕は高野さんの後を追う様にエントランスに向かった。

「おい、西岡」

「はい」

「お前家の部屋番号」

「1200です････」

ん？待てよ

1200･･･確か1201って････

「何だ隣かよ。ならこっちだ、早く来い」

やっぱりかぁぁああ！！！

ご褒美かと思う程幸運な事が続く一方で、これから高野さんと小野寺さんの玄関先でのイチャラブに遭遇する確率が増すのかと思うと、めちゃくちゃ嫌だ。

就職が決まって、引っ越しが昨日。

荷物の運び込みは親がやってくれていたから、新居に入るのは今日が初。

だから部屋を教えて貰えるとは実に有難いけれど、、、、

「此処だな。俺はそっちだから」

「あ、はい。ありがとうございました」

ペコりと頭を下げて、部屋の鍵を開けようと鞄を探る。

ん？

待て、無いぞ。

顔から血の気が引いていくのが分かる。

親が荷物の運び込みをした後、鍵を預かるのを忘れてた。

ヤバい、管理人さんに言って開けてもらうか？

それとも今日はホテルに泊まって。。。

「何だ。入らないのか」

「晩御飯が無いのを忘れてたので先に買いに行こうかと」

「あっそ。明日遅刻すんなよ」

「はい。お疲れ様でした」

高野さんが部屋に入っていくのを確認し、僕は慌てて携帯を取り出す。

もしかしたら、ポストに入れてくれてる可能性も！

((ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

『もしもし？』

「母さん？！あのさ、引っ越しの事なんだけど」

『あら？わざわざ電話くれたの？また何かあったら何時でも言いなさいよ！』

「うん。あ、ありがとう･･･って、そうじゃなくて！鍵、家の鍵何処？！」

『鍵？････あ』

母さんの口から出た『あ』の一言で僕は察した。

きっと今、あの人の手元にある。

「母さん、そっちに鍵あるよね？」

『･･･うん。ごめんね☆』

あ、終わった。