【世界一初恋】貴方の瞳に映らなくても【男主】 (ページ2)

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2話ページ2

誰もいない非常階段へと逃げ込んだ僕は、頭を抱えてしゃがみこんだ。

子供の頃から自分が他の人と違うことは自覚していた。

けれど、日常生活に支障をきたした事がなかったから今まで気にしたことは無かった。

けれど、

「まさか、こんなことになるなんて････」

予想外の出来事がおきると、人間はこんなにも動揺するんだと知った。

目の前にずっと好きだった人が存在していて、

僕に話しかけて、

僕を見てくれて、

声が聞けて、呼吸している。

その一つ一つの奇跡が25年の歳月の中で衝撃的すぎて、言葉にできない。

ただ僕はもう社会人だ。

公私混同してはいけない。

前の部署でも成績が優秀だと言われていた。

例え営業から編集に変わったとしても、仕事は完璧にやりとげる。

気合いを入れるため両頬を軽く叩き、立ち上がる。

「よし、頑張ろう！」

そして、もう一度新しい配属場所へと僕は歩き出した。

「ご迷惑をおかけしてすみません」

「社会人として体調管理も出来ない何て何が優秀な人材だ」

「･･･すみません」

「営業で成績残しててもな、お前は編集者としては新人なんだよ。仕事も出来ない、体調管理も出来ないときたら手に負えねぇだろ」

「はい。申し訳ありません」

アニメで何度も小野寺さんが怒られている姿は見たが、実際に怒っている高野さんを前にすると凄い迫力だ。

「お前の席は俺の前だから、分かんねぇことがあったら小野寺か、その辺の奴らに聞け。いいな」

「はい。」

その後は、昼休憩を取ることなく編集者の仕事や担当の先生の説明、挨拶周りなど目まぐるしく一日が過ぎた。

只今の時間は、午後九時。

僕のデスク以外は全て電気が消えている。

「はぁ･･･」

当分の間は家に帰れないな。

編集の仕事は営業の時よりも難しい。

まずは少女漫画を読み尽くさないとならないし、データ整理もしなければならない。

やることは沢山だ。

「おい、何してる」

「へ？」

背後から声がして振り返ると、眼鏡をかけた高野さんが。。

「イケメン････」

「はぁ？」

「？！いえ、お疲れ様です！！」

立ち上がり頭を下げると、高野さんは僕の肩に手を置いて座らせる。

そして、そのまま覗き込む状態で僕のディスプレイを見た。