良い鬼 ページ22
禰豆子の手を握り返してから、炭治郎が返答する。
「……ありがとうございます。でも、俺達は一緒に行きます。離れ離れにはなりません……もう二度と」
「……分かりました。では、皆さんの武運長久を祈ります」
微笑みを浮かべながら、珠世が言った。
「じゃあな、俺達は痕跡を消してから行く。お前らももう行け」
プイと顔を背け、最後まで無愛想に言い切る愈史郎。
「はい……私、珠世さんと愈史郎さんみたいな良い鬼に出会えて良かったです。色々とありがとうございました」
人間の味方をして、鬼と敵対する鬼。
そんな珍しい鬼が禰豆子以外にもいるだなんてびっくりした。
「Aさん……こちらこそありがとう」
驚きと喜びの入り混じった笑みを浮かべ、珠世が感謝を述べた。
「……それじゃあ、日がさしてるし箱を……」
もう外は朝日が昇りきっている。
禰豆子が入るためのあの大きい木箱が必要だ。
「炭治郎」
愈史郎に名前を呼ばれるのは初めてだ。
思わず炭治郎とAがそちらを振り返る。
「お前の連れと……お前の妹は美人だよ」
背を背けたままそう言ったのは、照れ隠しなのかも知れない。
Aの目には、満面の笑みを浮かべる炭治郎が映っていた。
「炭治郎、折れた所大丈夫?」
「Aこそ、手首大丈夫なのか?」
「私は手当てしてもらったから大丈夫!」
「俺も、手当てしてもらったから大丈夫だ!」
そんな会話を繰り広げながら、二人は浅草を出ようとしていた。
次の任務に向かうのだ。
「あっ……ちょっと待って、見たい所があるから先行っててくれる?」
「え?全然待ってるけど……」
「いいから!!」
炭治郎は、半ば強引に先を進む事になった。
不満そうにぶつぶつ言いながら炭治郎が街を出たのを確認すると、Aは来た道を引き返して色々な店を巡った。
包帯は珠世が分けてくれたから足りている。
あの女性の手当てに使ったハンカチを新たに買い、お菓子を買い足し、これで用事は終わりだ。
「お嬢ちゃん美人だねぇ」とか言って店の人がおまけをくれたので、予想以上に荷物は多い。
「A!!終ワッタ!?早ク次ノ任務ニ向カッテエエ!!」
「うん!早く炭治郎に追い付かなきゃ!」
はるに急かされながら、Aは浅草を後にした。
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ヒメアミ(プロフ) - 月の舞さん» お待たせしました!応援ありがとうございます、これからも頑張ります!! (2021年8月19日 21時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
月の舞 - ヒメアミさん» 更新待ってました!これからも頑張ってください、応援してます! (2021年8月19日 20時) (レス) id: e23982275e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ちょこぱふぇ♪さん» コメントありがとうございます! 褒め上手すぎませんか!?とっても嬉しいです……!!読みやすいと言っていただき安心しました!応援ありがとうございます、楽しんでいただけるよう引き続き頑張ります!! (2021年8月6日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ちょこぱふぇ♪(プロフ) - 初コメ失礼します!とても読みやすくて内容がスッと入ってきました!こんな小説初めてです!とても応援してます!主さんのペースで頑張って下さい!!!次のお話も楽しみにしてます! (2021年8月6日 1時) (レス) id: 92821f8356 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 黒魔霊歌さん» 初めまして!本当ですか!?読み返していただきありがとうございます……!楽しんでいただけて良かったです! イラスト可愛いですよね!応援とても嬉しいです!更新頑張りますね! (2021年8月5日 22時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒメアミ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HIMEHP/
作成日時:2021年1月21日 21時