禰豆子の暗示 ページ21
「大丈夫です。多分二人のことを、家族の誰かだと思っているんです」
炭治郎がきっぱりと答える。
だが、珠世の疑問は増すばかり。
「?……しかし、禰豆子さんのかかっている暗示は人間が家族に見えるものでは?私達は鬼ですが……」
「でも、禰豆子は人間だと判断してます。だから守ろうとした」
炭治郎の言葉に、珠世が目を見開いた。
「俺……禰豆子に暗示かかってるの嫌だったけど、本人の意思がちゃんとあるみたいで良かっ……」
炭治郎がそう言い終わるか言い終わらないか、珠世の瞳から涙が零れ落ちた。
「すみません!!禰豆子、禰豆子!はなっ……離れるんだ、失礼だから!」
炭治郎がわたわたと焦りながら慌てる。
だが、珠世は禰豆子をぎゅっと抱き返した。
「ありがとう、禰豆子さん……ありがとう……」
炭治郎とAは訳がわからずオロオロするが、愈史郎は悲しげな表情で珠世を見つめていた。
昔の事を思い返しているような、そんな表情で。
「私達はこの土地を去ります。鬼舞辻に近づき過ぎました。早く身を隠さなければ危険な状況です」
珠世の突然の発言に、Aは面食らった。
だがそれだけではないらしく、珠世は「それに」と続けた。
「うまく隠しているつもりでも、医者として人と関わりを持てば、鬼だと気付かれる時がある。特に子供や年配の方は鋭いです」
鬼だと気づかれれば面倒な事になる。
確かに自分達の事を誰も知らない土地に移るのは賢明だと言えるだろう。
「炭治郎さん」
「はい!」
「禰豆子さんは、私達がお預かりしましょうか?」
突然の申し出に、炭治郎の動きが固まる。
「えっ?」
「絶対に安全とは言い切れませんが、戦いの場に連れて行くよりは危険が少ないかと」
愈史郎がかなり嫌そうな表情をしているが、確かにそっちの方が安全かもしれない。
いや、最後に決めるのは炭治郎と禰豆子なのだが。
隣の炭治郎の顔を覗きこむ。
かなり悩んでいた。
だが、禰豆子に固く手を握られ、決心できたようだ。
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ヒメアミ(プロフ) - 月の舞さん» お待たせしました!応援ありがとうございます、これからも頑張ります!! (2021年8月19日 21時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
月の舞 - ヒメアミさん» 更新待ってました!これからも頑張ってください、応援してます! (2021年8月19日 20時) (レス) id: e23982275e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ちょこぱふぇ♪さん» コメントありがとうございます! 褒め上手すぎませんか!?とっても嬉しいです……!!読みやすいと言っていただき安心しました!応援ありがとうございます、楽しんでいただけるよう引き続き頑張ります!! (2021年8月6日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ちょこぱふぇ♪(プロフ) - 初コメ失礼します!とても読みやすくて内容がスッと入ってきました!こんな小説初めてです!とても応援してます!主さんのペースで頑張って下さい!!!次のお話も楽しみにしてます! (2021年8月6日 1時) (レス) id: 92821f8356 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 黒魔霊歌さん» 初めまして!本当ですか!?読み返していただきありがとうございます……!楽しんでいただけて良かったです! イラスト可愛いですよね!応援とても嬉しいです!更新頑張りますね! (2021年8月5日 22時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒメアミ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HIMEHP/
作成日時:2021年1月21日 21時