もう二度と ページ17
そんな状態を長く続けられる筈もなく、すぐにAは地面に倒れ込んだ。
(痛った……!え、これ折れた……!?)
左手首から嫌な予感がする。
手首を軽く右手で掴んでみる。
「!!」
痛い。かなり、痛い。
これは間違いなく折れている。
しかも、鬼からの攻撃ではなく落下の失敗で。
途端に自分が限りなく情けなく思えてきた。
現役柱の継子なのに、何やらかしてんだか。
「あっ、そんな事より」
Aが、ふと炭治郎と、禰豆子と珠世と愈史郎の事を思い出す。
皆それぞれ良い状況には置かれていない筈だ。
何より、早く鞠の方の鬼を倒さなくては。
左手首が折れていても、戦わなくていいという理由には断じてならない。
刀だって、まだ握れる。
ふと炭治郎の言葉が頭の中に蘇る。
──俺は長男だから……
(そう……そうよね。頑張らないと……皆は、もっともっと辛い思いをして死んじゃったんだから)
血塗れで倒れていた、変わり果てた姿の家族は、鮮明に思い出す事ができる。
もう二度と大切な人達の笑顔を、奪わせたりはしない。
Aは急いで禰豆子達のもとに急いだ。
炭治郎もいるかもしれない。
そこには、炭治郎こそいなかったものの、他の三人は無事に朱紗丸と向かい合っていた。
「十二鬼月のお嬢さん……貴女は、鬼舞辻の正体をご存知ですか」
珠世の落ち着いた声だ。
その言葉に、朱紗丸は異常なほどに反応を示した。
「何を言う、貴様!逃れ者めが!!」
「あの男はただの臆病者です。いつも何かに怯えている」
臆する事なく、珠世は凛とした声色で続ける。
「やめろ!!貴様……やめろ!!」
「鬼が群れることができない理由を知っていますか?鬼が共食いする理由……鬼達が束になって自分を襲ってくるのを防ぐためです。そのように操作されているのです、貴女方は」
「黙れえぇっ!!黙れ黙れ!!」
珠世の言葉を揉み消すかのように、朱紗丸が怯えながら無我夢中で叫ぶ。
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ヒメアミ(プロフ) - 月の舞さん» お待たせしました!応援ありがとうございます、これからも頑張ります!! (2021年8月19日 21時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
月の舞 - ヒメアミさん» 更新待ってました!これからも頑張ってください、応援してます! (2021年8月19日 20時) (レス) id: e23982275e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ちょこぱふぇ♪さん» コメントありがとうございます! 褒め上手すぎませんか!?とっても嬉しいです……!!読みやすいと言っていただき安心しました!応援ありがとうございます、楽しんでいただけるよう引き続き頑張ります!! (2021年8月6日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ちょこぱふぇ♪(プロフ) - 初コメ失礼します!とても読みやすくて内容がスッと入ってきました!こんな小説初めてです!とても応援してます!主さんのペースで頑張って下さい!!!次のお話も楽しみにしてます! (2021年8月6日 1時) (レス) id: 92821f8356 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 黒魔霊歌さん» 初めまして!本当ですか!?読み返していただきありがとうございます……!楽しんでいただけて良かったです! イラスト可愛いですよね!応援とても嬉しいです!更新頑張りますね! (2021年8月5日 22時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒメアミ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HIMEHP/
作成日時:2021年1月21日 21時