突然の攻撃 ページ10
だが、珠世は「ですが」と続けた。
「私達は必ず、その治療法を確立させたいと思っています。治療薬を作るためには、たくさんの鬼の血を調べる必要がある。あなた達にお願いしたい事は二つ」
そう言うと、珠世は禰豆子の方を見た。
「一つ──禰豆子さんの血を調べさせてほしい。二つ──できる限り鬼舞辻の血が濃い鬼からも、血液を採取して来て欲しい」
禰豆子は、どこ吹く風と言った様子で畳の上に横たわっている。
「禰豆子さんは今、極めて稀で特殊な状態です。二年間眠り続けたとのお話でしたが、恐らくはその際体が変化している。通常それほど長い間人の血肉や獣の肉を口に出来なければ、まず間違いなく凶暴化します」
改めて、禰豆子がいかに特殊な鬼かがAにはよく分かった。
鬼に攻撃し、人を喰べない鬼なんて、実際目にしなければとても信じられないだろう。
「しかし驚くべきことに、禰豆子さんにはその症状が無い。この奇跡は今後の鍵となるでしょう」
「鍵……」
Aが呟く。
禰豆子の存在は、鬼殺隊や鬼にどのような影響を与えるのだろうか。
「もう一つの願いは、過酷なものになる……鬼舞辻の血が濃い鬼とは即ち、鬼舞辻により近い強さを持つ鬼ということです。そのような鬼から血を奪るのは、容易ではありません」
鬼の強さは血の濃さによって決まる、ということらしい。そして調査によって得られる情報も多いのだろう。
「……それでも、あなた方はこの願いを聞いてくださいますか？」
Aは、迷う間も無く即答していた。
「……勿論、精一杯頑張ります。私に出来ることで人を助けられるなら」
『自分にできる限りの事で、精一杯人を助けなさい』──父の教えだった。
「ありがとう」
珠世はAの答えに、どこか驚いたように、嬉しそうに微笑んだ。
「……それ以外に道が無ければ、俺もやります。珠世さんがたくさんの鬼の血を調べて薬を作ってくれるなら──禰豆子だけじゃなく、もっとたくさんの人が助かりますよね？」
珠世は一瞬驚いたように黙ってから、再び美しく微笑んだ。
「……そうね」
その微笑に思わず炭治郎が頬を赤く染めるが、愈史郎にキッと睨まれ、慌てて気を引き締めた。
だが、次の瞬間。
「！？……まずい！ふせろ！！」
愈史郎の叫び声が響いた時には、建物の中を“何か”が縦横無尽に駆け回り破壊していた。
(攻撃！？)
炭治郎に押さえ込まれたAの目に映ったのは、チリン……と音を立てて転がる鞠だった。
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ヒメアミ(プロフ) - 月の舞さん» お待たせしました！応援ありがとうございます、これからも頑張ります！！ (2021年8月19日 21時) (
レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
月の舞 - ヒメアミさん» 更新待ってました！これからも頑張ってください、応援してます！ (2021年8月19日 20時) (レス) id: e23982275e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ちょこぱふぇ♪さん» コメントありがとうございます！ 褒め上手すぎませんか！？とっても嬉しいです……！！読みやすいと言っていただき安心しました！応援ありがとうございます、楽しんでいただけるよう引き続き頑張ります！！ (2021年8月6日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ちょこぱふぇ♪(プロフ) - 初コメ失礼します！とても読みやすくて内容がスッと入ってきました！こんな小説初めてです！とても応援してます！主さんのペースで頑張って下さい！！！次のお話も楽しみにしてます！ (2021年8月6日 1時) (レス) id: 92821f8356 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 黒魔霊歌さん» 初めまして！本当ですか！？読み返していただきありがとうございます……！楽しんでいただけて良かったです！ イラスト可愛いですよね！応援とても嬉しいです！更新頑張りますね！ (2021年8月5日 22時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ヒメアミ | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HIMEHP/
作成日時：2021年1月21日 21時
