偽物の十二鬼月 ページ19
「基本的に……鬼同士の戦いは不毛です、意味が無い。致命傷を与えることができませんから。陽光と鬼殺の剣士の刀以外は」
やはり、鬼を倒せる方法は限られている。
鬼によって鬼を倒し切ることはできないのだ。
「ただ鬼舞辻は、鬼の細胞の破壊ができるようです」
その時、愈史郎がこちらにハンカチを放ってきた。
「え?」
反射的に受け取る。
愈史郎は炭治郎の口にもハンカチを押し当てて言った。
「珠世様の術を吸い込むなよ、人体には害が出る」
納得しながら、Aは口にハンカチを当てた。
鬼の術なのだから、人には影響が出てくるのだろう。
「……この方は十二鬼月ではありません」
「……!?」
珠世の一言に、炭治郎が分かりやすく驚く。
「十二鬼月は、眼球に数字が刻まれています。この方には無い……もう一方も、恐らく十二鬼月ではないでしょう。弱すぎる」
そうだ、十二鬼月は目に数が刻まれているんだ。
やよいに言われた事を、今になってAが思い出す。
同時にAは驚いた。
あんな厄介な血鬼術を操る鬼が、珠世によれば“弱すぎる”らしい。
確かに勝てない相手とは思えなかったが、本物の十二鬼月は果たしてどれだけの強さを誇るというのだろう。
「血は採りました……私は、禰豆子さんを見ます。薬を使ったうえに術を吸わせてしまったので。ごめんなさいね」
軽く頭を下げてから、珠世は家に入っていった。
「頭の悪い鬼もいたものだな……珠世様の御体を傷つけたんだ、当然の報いだが」
愈史郎はそう言うと、途端に立ち上がった。
「もう後は知らんぞ、布は自分で持て!俺は珠世様から離れたくない少しも!!」
その言葉通り片時も珠世から離れたくないらしく、愈史郎は珠世の後を追うように凄い勢いで家に飛び込んでいった。
「……私達も行こっか。立てる?私の肩持って」
地面に倒れ込んでいる様子からして、炭治郎は足を負傷しているらしい。
Aはすすす、と炭治郎の近くに寄った。
「ごめんな……ありがとう」
炭治郎がAの肩を借りてよろよろと立ち上がるが、ふと二人の視線が“呪い”の餌食となった朱紗丸に集まった。
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ヒメアミ(プロフ) - 月の舞さん» お待たせしました!応援ありがとうございます、これからも頑張ります!! (2021年8月19日 21時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
月の舞 - ヒメアミさん» 更新待ってました!これからも頑張ってください、応援してます! (2021年8月19日 20時) (レス) id: e23982275e (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - ちょこぱふぇ♪さん» コメントありがとうございます! 褒め上手すぎませんか!?とっても嬉しいです……!!読みやすいと言っていただき安心しました!応援ありがとうございます、楽しんでいただけるよう引き続き頑張ります!! (2021年8月6日 12時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
ちょこぱふぇ♪(プロフ) - 初コメ失礼します!とても読みやすくて内容がスッと入ってきました!こんな小説初めてです!とても応援してます!主さんのペースで頑張って下さい!!!次のお話も楽しみにしてます! (2021年8月6日 1時) (レス) id: 92821f8356 (このIDを非表示/違反報告)
ヒメアミ(プロフ) - 黒魔霊歌さん» 初めまして!本当ですか!?読み返していただきありがとうございます……!楽しんでいただけて良かったです! イラスト可愛いですよね!応援とても嬉しいです!更新頑張りますね! (2021年8月5日 22時) (レス) id: 773d896b8c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒメアミ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/HIMEHP/
作成日時:2021年1月21日 21時