赤髪くんpart3 ページ27
船に乗ってから8時間。
「ここがどこか知らねぇで航海してるのか⁉」
「そうだ。」
さも当然のように頷く彼女の顔に焦りはない。
それに見惚れてしまった俺を殴りたいくらいだ。
惚れた弱み。まさにそれが当てはまる。
そんな俺に気がついたのか、セリシアがムカつくくらいに綺麗に微笑んで見せた。
また、視線が吸い寄せられる。
「賭けをしないか」
「賭け？何のだ」
見惚れていたのを隠すために真剣な顔で応じる。
それすらも分かっているような優しい声音の甘さに
息ができなくなりそうだ。
「この船はあと何時間で次の島に着くか。」
「報酬は」
殆ど無意識のうちにそんな言葉が出た。
それはきっと俺が報酬に期待をしていたからだ。
財宝なんて目じゃない。セリシアが報酬であればいいと思ってしまったから。
「そうだな……報酬は私でどうだ」
首を傾げたと同時に、さらりと髪が揺れる。
夕焼けに照らされたそれは金の川のようで、青い瞳は深い深海の色へと変わっていた。
自信に満ちた瞳がキラリと青く輝く。
喉から手が出るほど欲しいと思ったものなんて今までなくて、自分がこんなにも欲深いだなんて知らなかった。
「乗った。」
「私は強いぞ、シャンクス」
甲板に敷いた薄い高級そうな布の上にセリシアがたち、座った俺を見下ろした。
堂々とした姿が帽子をもらったあの人と重なって、
ぼんやりと小さな彼女を見つめた。
その小さな手が俺の頬を包む。
やけに艶っぽく惚れた女が微笑んだ。
「なん、だ……っ！」
ちゅ、
と幼稚な音を立てて額に柔らかな感触がした。
「なっ、」
「隙だらけだぞ、シャンクスくん。」
からかわれている。
そう理解した瞬間に俺の頭は湯気を出した。
「お、まぇなぁ……//」
「ふふっただ待ってるだじゃつまらないだろ。
鬼ごっこをしよう。私は5時間に賭けるぞ。」
「わかったよ！やればいいんだろ。
俺は8時間に賭ける。俺が鬼だぞ」
「島に着くまでの時間が近い方の勝ちだ」
「ああ」
「レディー……go！」
ふっと姿を消したセリシアに、シャンクスは笑う。
そっくりなのだ。船長に。
「遊びに本気になるところまで似てるなぁ」
これは本気で行かないと捕まらないだろう。赤い髪が揺れた瞬間、セリシアと同じようにシャンクスは居なくなっていた。
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ラッキーアイテム
白い鯨
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月25日 1時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
優李(プロフ) - 咀嚼音いります？？ (2021年5月6日 13時) (レス) id: e006b8a2f6 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか(プロフ) - とても面白かったです！ちなみに私は1年経ってもクラス全員のフルネーム覚えれませんでした。←どうでもいいことをすいません (2021年3月6日 21時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
鴉麗(プロフ) - snowさん» 率直で嬉しいコメントをありがとうございます、ぼちぼち更新していきますので、よろしくお願いします！ (2017年12月11日 22時) (レス) id: fe16c709f3 (このIDを非表示/違反報告)
snow - 面白いですね (2017年12月10日 15時) (レス) id: ca8fc47821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鴉麗 | 作成日時：2017年3月26日 1時
