出航、そして ページ23
夜が明けた。
昨日会ったばかりの島の住人。
親戚になった白ひげ海賊団。
大切な仲間達。
全員に別れを告げるんだ。
「セリシア宮！」
こらえきれないと、そう伝えるようにナクがしゃがんで私に抱きついて来る。身分の違いが邪魔をしていた分、力強く。
私も、どこかでつっかえていた物が取れて、
ナクの背中に手をまわした。
「好きですセリシア！大好きです！」
「あぁ」
「僕が泣いてる時にハンカチをくれたり、優しく慰めてくれる所とか！ずっと大好きでした！」
「……あぁ」
「僕の料理を美味しそうに食べてくれる所も！
姉みたいに接してくれるのも！」
「…………あ、ぁ」
「全部、ぜんぶ好きです！」
「…………っ！」
ぽろり。抑えようとしても
ポロポロこぼれ落ちて、
止められない。
2人して号泣していたら、すっとハンカチが差し出された。カルだ。
「私も、お慕い申しておりました。暗殺をしていたと打ち明かしても変わらず優しく接してくれた貴方に私がどれだけ救われたか」
ポトリ、私の頬にカルの涙が伝う。
余計にとまらなくなった。どうしてくれるんだ。
他の仲間達を見ると、泣き崩れて、
まともに話せる状態じゃなかった。
皆んな、口や目頭を押さえている。
「……出会った時から、貴方達を引き取ろうと思った時から…………っ」
ポトポトと涙が落ちる。
私は一旦下を向いて、それからにっこりと笑った。
「ずっと、愛してる」
そこからはもう大惨事だ。
いきなり白ひげ海賊団が泣き出して、島の住人も泣きだして、しまいにはエドまで泣いてた。
さていくぞと私が船に乗った時には
皆んな目が真っ赤で、地面は水びたしだ。
こんなにいい出会いをしてたのか、私は。
気づかないうちにたくさんの出会いを。
何かをしたいと思った。
出来る事ならある。今の私だからこそ。
「陽樹イヴ。尊き樹木よ。我に返り我に従え」
「Blessing」
波紋が広がるように加護が広がっていく。
車椅子の老人達がいっせいに立ち上がった。
皆んなが驚きで目を見開く中、
私はにっこりと笑って言った。
「この島を私の縄張りにする‼」
「名を上げてからだと言っただろうがぁ！」
エドが怒ったように言う。
私はエドに紙を投げつけて、さっさと出航した。
▽
「！……グラララ」
目を細めて微笑む白ひげの手には、
6億の少女の手配書があった。
ラッキーアイテム
白い鯨
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lokiloki - こちらの作品をとても気に入ったのでプレイリストに載せさせてもらいます ※自分の作品を消したい場合はお手数をかけますがプレイリストの 【おもしろ度を投票】の上にある 【リストから削除】からやるか、プレイリストのコメントから作者に言ってください (4月25日 1時) (
レス) id: 388da595fc (このIDを非表示/違反報告)
優李(プロフ) - 咀嚼音いります？？ (2021年5月6日 13時) (レス) id: e006b8a2f6 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか(プロフ) - とても面白かったです！ちなみに私は1年経ってもクラス全員のフルネーム覚えれませんでした。←どうでもいいことをすいません (2021年3月6日 21時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
鴉麗(プロフ) - snowさん» 率直で嬉しいコメントをありがとうございます、ぼちぼち更新していきますので、よろしくお願いします！ (2017年12月11日 22時) (レス) id: fe16c709f3 (このIDを非表示/違反報告)
snow - 面白いですね (2017年12月10日 15時) (レス) id: ca8fc47821 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鴉麗 | 作成日時：2017年3月26日 1時
