喧嘩と嫉妬 Jean･Jacques･Leroy ページ46
｢ジャン…?｣
｢…なんだ?｣
｢まだ怒ってんの?｣
部屋と廊下を隔てる木製のドアにもたれ掛かった彼女は前髪をかきあげて不満げに俺を見た｡
｢…別に｣
｢怒ってんじゃんわかりやす｣
ぶふ、と挑発するような瞳で俺を見ながら噴き出した｡
その顔にまで むっ としてしまった俺は思わず立ち上がった｡
｢A｣
｢…なに?｣
俺がそのまま彼女の近くまで行くと気圧されたように俺を見上げて顔を歪めた｡
｢俺が悪いのか?｣
｢…知らない｣
1歩下がった彼女は焦ったように目を泳がせた｡
｢なに?怖いの?｣
組んでいた腕を腰に持っていった彼女がかわいい｡
｢怖くないし!調子のんなし!｣
ぷ、と頬を膨らませた彼女の頬をわざと荒く掴むと ぶ、 と口から空気が抜けていった｡
｢…は,む…はなせ｣
ぎろ、と俺を睨むけれど唇を尖らせたままの顔じゃあ格好がつかない｡
｢はは,Aそうやって睨むと可愛い顔が台無しだぞ｣
｢…｣
顔を真っ赤にして俺から目をそらした彼女は俺の手を掴んではぐぐ、と力を入れて外そうともがいた｡
｢A,許してくれる?｣
｢…ｯう-…｣
勝ち目がないと分かったのか目だけで頷いた彼女の頬から手を離すとそのまま俺腹を軽く殴った｡
割と力が強くてちょっと痛い｡
｢A優しいな〜…｣
態とらしく呟いた俺を静かに睨みながら ふん、そっぽを向いた｡
｢…｣
俺が怒った理由は彼女が俺の誕生日を忘れていた事だけだ｡
｢ジャン,｣
少し機嫌が悪そうな顔で俺の名を呼んだ｡
｢…ん?｣
｢誕生日おめでと…遅れてごめんジャン｣
ちゅ、と鼻の頭にキスを落とした彼女はぎこちなく笑みを浮かべた｡
pledge Lee･Seung-gil→←ルビーの指輪 Otabek･Artin
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作者名：Ψ | 作成日時：2017年3月26日 22時
