🌕EP.171 ページ6
それを合図に、獣の巨人が振りかぶった。
次の瞬間、それは私達の頭上をすごい勢いで通り過ぎる。
「やられた」
団長の苦渋の声が聞こえた。
あの樽の中にまだ見つかっていない、超大型巨人であるベルトルトが入っているのなら・・・
団長!
と言う私にエルヴィン団長は視線を向けた。
「ああ、君達は自由に───」
そう言いかけて止める。
どうやらベルトルトは巨人にはならず、そのままシガンシナ区へと下りていったようだ。
『マスター!』
ウォール・マリア領内を見ていたアーチャーの念話に、振り返り獣の巨人側を見る。
前方には小型の巨人を相手に戦いを繰り広げている調査兵。
その先にいる獣巨人は、岩を持ち上げている。
『また岩を投げるつもりか・・・いや、あれは・・・掌の中で岩を砕いた?』
どうして?
なんで岩を砕いた?
前線には多勢の兵士。
獣の巨人がゆっくりと振りかぶる。
眼下には、
こちらを振り返る───
『マズいぞ!狙いは兵士だ!!』
アーチャーのその声に、壁を蹴って飛び下りるのと、エレン達のいるシガンシナ区側で爆発音が響くのとは同時だった。
急降下に一瞬、息が詰まる。
肺の空気を吐き出すと共に、
アーチャー!!
と叫ぶ。
姿を現し空中で私をキャッチした彼は、兵長の前方へと降り立つと、飛んできた無数の
パリンと双剣が割れる。
「君が飛び出してどうする!?」
そう怒鳴られるが、
そんな事言ったって、身体が勝手に動いてしまったのだからしょうがない。
やってしまったことを考えても今更だ。
構わず、そのまま前方を見る。
「クソ!」
と兵長の声。
獣の巨人の投げた石礫、こちらは防ぎ切ったが、前線に出ていた他の兵士達にこれが直撃したのだとしたら・・・
「・・・マスター。そんなに唇を噛むな。血が出ている」
アーチャーの言葉で我に帰った。
口の中には鉄の味が広がっている。
一瞬の出来事、あまりの光景に、
悔しさから、気がつかない間に唇を噛みしめていたらしい。
私から視線を外したアーチャーは、目前の惨状に目を向ける。
ああ、この顔は・・・間違いなく彼も怒っている。
「前方より砲撃!物陰に伏せろ!!」
壁の上から、エルヴィン団長の指示が飛ぶ。
アーチャーは私を抱えて、兵長とは逆の建物の影へと避難した。
まるで大砲でも撃たれたかのような衝撃音。
それをやり過ごす。
これを何度もやられたら、不用意に近寄れない。
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名無し - 初めまして。設定が面白そうだなと思い途中まで読ませて頂きました。ただ主人公が話している部分がちょっと分かりづらいところがあるので『』を使った方が分かりやすくなるのではと思いました。 (2021年11月9日 10時) (レス) id: 5e4676d401 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kokubyaku | 作成日時:2020年1月31日 23時