乾いた地より見る月はVol.6【進撃の巨人×Fate/EXTRA】 (ページ16)

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🪶EP.181 ページ16

夕日が辺りを赤く染めている。

ウォール・マリア内の巨人が掃討されたのは、つい最近の事。

トロスト区からシガンシナ区へ向けての街道の舗装作業も、もうすぐ始まるだろう。

俺は、Aを連れ出した後、区内の昇降機を管理している駐屯兵に話をつけると、Aを連れて昇降機に乗り、壁を登った。

ウォール・ローゼの壁の上は、ヤツが消えた場所を思い起こさせる。

逃げ出すんじゃねぇかとも思ったが、Aは一度だけ立ち止まりはしたものの、黙ってついてきた。

遮るものが何もないこの場所は、暖かくなってきたとはいっても、朝夕はこの外套がなければまだ肌寒い。

暫く何も話さずその夕日を眺めていた。

Aは、ずいぶんと気持ちを押し込める事に慣れているようだ。

こうやって、こっちがどれだけ感情を吐き出させようとしても、毎回徒労に終わる。

その変な根性だけは認めてやるが、

明かに、

コイツの特技であるはずの“諦めの悪さ”の使い方を間違えてやがる。

あれだけ絆がある相手が目の前で消えたんだ、

泣き喚いてたっておかしくない。

そうならない事の方が不自然だ。

Aは無意識なのかもしれない、

右手は左手に残ったレイジュに触れていた。

その一瞬だけ、感情が戻ったようにも見える。

─── 不安な時、何かに縋り付くかのような・・・

その仕草を見るたび、胸の中になんともいえない苦さが広がる。

“性分だ”と言い残した、ヤツを思い出す。

その苦さを逃すように、

大きく一つ、息を吐き出した。

そして、ここに来てまで、そうやって感情(気持ち)を押し込め続けようとするAを見て、

こいつが知らないであろう、

ヤツの事を話すことに決めた。

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