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🌕EP.166 ページ1

月の出ていない夜の闇を、鉱石の光を頼りに馬の手綱を引き、隊列を組んで歩く。

ここは既に巨人の領域。

ふと、暗闇に視線を向けると、そこから何かが現れるかのような不気味さが常に付き纏う。

「きょ、巨人だ!」

どこからか聞こえたその声に、一瞬にして私の身体は固まり、緊張が走る。

右手に持った明かりを握りしめ、声が聞こえた方へと集中的に向けて、その場を照らした。

ハンジさんも同じく鉱石の光を当てながら、確認する。

「大丈夫、眠ってるよ」

その声を聞いて、大きく息をついた。

『大丈夫か?マスター』

私の事を心配してきたアーチャーが、そう声をかけてきた。

うん・・・大丈夫

ウォール・マリア内地に入ってから随分と時間が経っている。

きっと誰もが同じ状態だろう。

エレンのように巨人化できるライナーやベルトルトだって、あれ以降見つかっていない。

故郷とやらに帰ったのかもしれない。

だけど、まだその辺に潜んでいて、ここを突破される事を恐れて襲って来ないとも限らない。

そういう可能性があるという事は、エルヴィン団長からも聞かされている。

だからこその覚悟だった。

相手はかつての仲間、その事実に過去の戦いの日々を思い出す。

勝てるのだろうか?・・・それはセラフにいた時に何度も突き当たってきた事。

だけどそれを乗り越えてきた。

今は信頼できる仲間のみならず、上司もいる。

しかし、正直、準備は十分とはいえない。

せめて、魔力を回復する手段が何かあるなら・・・

あまりに考え込みすぎて、気づけば口に出ていたようだ。

それを聞いたアーチャーが、

『・・・君は、魔力を回復する方法があると言えばどんな事でもできるか?』

と言ってきた。

どういう事?

『例えば聞いた結果、後悔する事になってもそれを知りたいのか?』

含みのある言い方だ。

念話で伝わってくる真剣な声色に、私は少し考える。

後悔するかどうかは、それを聞いた時に自分で判断するよ

例えそれがどんな事でも、アーチャーと一緒に力の限り戦えるなら・・・自分で考えて決めた事なら、私はきっと後悔しないから

だから、もしそんな方法があるのなら、きちんと話してほしい

私のその言葉に、アーチャーは暫く何か考えているようだったが、

『・・・傲慢、か・・・』

ため息と共にポツリと呟く。

『君の意思は分かった。魔力回復については必要な時に話すと約束しよう。だが今は、それよりも君の誤解を解いておく事の方が重要なようだ』

🌕EP.167→



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名無し - 初めまして。設定が面白そうだなと思い途中まで読ませて頂きました。ただ主人公が話している部分がちょっと分かりづらいところがあるので『』を使った方が分かりやすくなるのではと思いました。 (2021年11月9日 10時) (レス) id: 5e4676d401 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:kokubyaku | 作成日時:2020年1月31日 23時

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