8話 ページ9
それに気づいたのはお昼前だった。
はい。お弁当忘れました。
いや別にいいんだけどさ、そんな凝って作ってるものじゃないし、手持ちはあるから適当に買えばいいだけだし。でも作ったのに忘れたという敗北感は否めない。はぁ、とため息ついてると、授業が終わるチャイムが鳴り、お昼の時間が訪れた。いつもよりしおしおしてると、園子ちゃんが顔を覗き込んでくる。
「どうしたのよ、暗い顔して」
「お弁当忘れちゃって、」
「あら」
「ちょっとコンビニ行ってくるね」
いってらっしゃーい、と園子ちゃんたちに見送られて教室から出ようとした時、ガラッと開く教室のドア。そして、
「し、忍田さん！？」
「ああ、良かった。ここで合っていたか」
私のお弁当片手にいつものスーツ姿の忍田さんが立っていた。
「ちょ、ちょ、どうしてここに！と、とりあえず教室の外でよ！？」
「こらそんなに押すんじゃない」
半ばパニックになってぐいぐい忍田さんの背中を押して教室の外に出る。
「な、なんで来たの？」
「なんでとはあんまりだな。Aが弁当を忘れたからだろう？」
「でも仕事…」
「Aが弁当を忘れたから届けに行くと伝えたら、あの慌てんぼう娘が…って城戸さんが言っていたな」
城戸さんそういう所あるよね。真顔でそういうこと言っちゃうよね。忍田さんのこともやんちゃ坊主呼ばわりするし。というか忍田さんが私のお弁当ごときで仕事を抜け出すことに何も言わないの？ボーダーどうなってんの？
「言ってくれれば校門まで行ったのに…」
「Aのことだからお腹が減ったと騒ぐかと思ったんだ」
「そっ…こまで食いしん坊じゃありません！」
はは、と忍田さんは笑うと、私の頭を撫でながら弁当を渡してくれる。
「まあいいじゃないか。少し心配して見に来た部分もあるんだ」
「え？」
「その、この歳になってこんなこと心配されるのは嫌かもしれないが…学校にちゃんと馴染めてるか、とか…」
珍しく忍田さんの歯切れが悪く、段々と尻すぼみになっていく言葉。なんだか、それが愛おしくて。
「大丈夫だよ、友達もいるし。…ありがとう」
「…それならよかった。任務のせいで違う学校になったことを少し気にしていたんだ」
気恥ずかしそうに目線を逸らす忍田さんに、ニコニコしているとガタンッと大きな音がして振り返る。そこには恍惚とした表情の園子ちゃんと冷や汗かいてる蘭ちゃんと興味津々な瞳をした真純ちゃんがいた。
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わか - めっちゃ面白いです！！ でも安室さんは敬語で話すイメージがあるんですが………？ (2021年12月8日 11時) (
レス) @page5 id: 9e519c38d5 (このIDを非表示/違反報告)
月島凜(プロフ) - 最高です！！無理せず自分のペースで更新していってください^_^！ (2021年7月20日 20時) (レス) id: 172d98ad74 (このIDを非表示/違反報告)
リリィ - 私も、同じです。無理はせず、更新お願いいたします (2019年8月22日 19時) (レス) id: 14d9286bf4 (このIDを非表示/違反報告)
318(プロフ) - 続き待っています！ 更新頑張ってください！ (2018年8月8日 10時) (レス) id: facaff3cf4 (このIDを非表示/違反報告)
Motor0014(プロフ) - 最高です！！！！続き楽しみにしています！ (2018年6月27日 10時) (レス) id: f36dbf5e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音繰 | 作成日時：2017年7月16日 23時
