梅雨の終わりに愛を唄う【弐】 (ページ9)

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参拾参ページ9

小鉄「鋼鐵塚さんが、刀の再生で不眠不休の研磨をしているから、少しでも手を止めてしまうともう駄目なんです!!どうか…助けて下さい!!!!」

『「…………」』

小鉄「どうか～!!」

「いや…僕は…」

そう言いかけた時、無一郎の頭の中で、御館様の言葉が蘇った。

御館様《君は必ず自分を取り戻せる…無一郎》

ｽﾞｷｯ

「!!」

『無一郎？どうしたの？』

頭を抑える無一郎は、御館様の言葉に耳を傾けていた。

御館様《混乱しているだろうが、今はとにかく生きる事だけ考えなさい。生きてさえいれば、どうにかなる。失った記憶は必ず戻る。心配いらない……きっかけを見落とさない事だ。些細な事柄が始まりとなり、君の頭の中の霞を鮮やかに晴らしてくれるよ》

「……A…ごめん…僕…」

『うん!!……人助け……しますか!!』

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小鉄「ひゃあああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

「喋ってると舌を噛むから」

小鉄「ひいいいいいいいいいい!!!!!!!!」

『だから、喋ってると噛むって!!』

小鉄を抱えながら並木道を風の如く走り抜ける2人は、金盛さんを探していた。あの御館様の言葉が、無一郎を行動に出させたのだ。

『わっ!!』

「!!A!!!!」

走ってる途中、足をやってしまったAは地面に叩き付けられてしまった。

『行って!!すぐに追いつくから!!早く!!』