梅雨の終わりに愛を唄う【弐】 (ページ6)

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参拾ページ6

刀鍛冶の里に来て5日。
毎日話していた無一郎とは
一度も話していない。

《いやはや、あの者の肉は本当に美味しかった》

『……ﾁｯ…』

その日の夜。無一郎が温泉に行っている間、鬼を思い出し胸糞悪くなった。言わなかった私も悪いが、折れてくれなかった無一郎にも怒りを感じ、怒り任せにリボンを机に叩き付けた。

ﾊﾞﾝｯｯｯ!!!!

そして、日輪刀を置いて宿を出て行った。

ーーー無一郎sidーーー

《時透くん、Aさんはまた、鬼化する可能性があります……目を、離さないで下さいね》

Aが血鬼術で鬼にされかけた時、しのぶさんに言われた事を思い出した。
5日前のあの日、Aが怒鳴る姿はまるで……

鬼だった。

目の格子は猫のように細くなり、牙が生え、僕に殺気を放っていた。実際はどうだったかは分からない。ただ、僕が見た彼女は…妻は、鬼だったのだ。

「(Aから目を離してはいけない…一度目を離してみろ…人の肉を食らう鬼になってしまう)」

だけど……遅かった。風呂から上がって部屋に戻ると、Aの姿が無かった。代わりに置いてあったのは、日輪刀と継子の印として渡した、リボン。

「ｯ……Aｯ…」

リボンを握りしめて懐に入れると、自分の刀鍛冶の所に行った。

「金盛さん……いない」

取り敢えず…誰だっけ…えっと……あぁ、炭治郎に居場所を聞こうと宿に戻った。