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弐拾玖 ページ5
涙が止まらない。
玉壺「…お嬢さん、名前はなんと」
『黙れｯｯｯ!!!!』
ザシュッ!!
腕を1本切り落とすと、畳に血しぶきが飛ぶ。その途端、鬼の表情が変わった。
玉壺「いけませんねぇ…人の腕を切り落とすなど…」
『人を食い殺す鬼の方が…無能よ』
玉壺「……ほう……食べごたえのありそうなお嬢さんだ……それでは、失礼いたします」
鬼はそう言って、壺の中に消えていった。壺は灰になって消える。
『ﾊｯﾊｯﾊｯ……ﾋｭｯ……ﾋｭー、ﾋｭー…』
か、過呼吸……に。
「……A？」
『!!…ﾋｭｯ…む、む、…無一…郎……ﾋｭｯ、ﾋｭｯ』
「A!息をしろ!!」
無一郎は私を抱きしめて背中を優しく叩いた。
「ゆっくり呼吸するんだ」
『ﾋｭｯ……ヒュー…ヒュー…ﾋｭ…スー、ハー…ケホッ…ｹﾞﾎｯ』
「……A、何があったの？それにこの血は何」
無一郎の声は明らかに怒っていた。
『……なんでもない……』
「嘘つかないで」
『何もないって…ただ、転んだだけ』
「転んだだけでこんなに血が出るかな」
『なんでも無いってば!!!!……ぁ…ごめん』
強く当たってしまい気まずい雰囲気になってしまった。謝ってももう遅い。
「……鬼だったら…鬼も君も、許さないから」
『ぁ……』
それから私達は、5日間、口を聞かなかった。
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作者名：見習い小説家 | 作成日時：2023年7月15日 11時
