梅雨の終わりに愛を唄う【弐】 (ページ4)

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弐拾捌ページ4

『およよよ…もうお嫁に行けな～い!!』

「何言ってんの、もうお嫁に来てるじゃん」

『やめて!!混浴でキュンとする言葉言わないで』

白風呂だから助かった。首までつかればなにも見えないね～。

『(それにしても……腹筋あるな～…まぁ柱だし…男の子だし……当たり前なのかな……)』

「何見てんの？」

『ッ!!……な、なにも』

つい見惚れてしまったが、すぐに逸らした。

「見惚れてたでしょ……」

『ゔっ』

「変態」

『ﾋｸｯ怒……誰が……変態はそっちでしょ！女の子無理やり混浴に連れ込んどいて』

「でもさー…ニヤけてるよ……顔」

『！？』

ほっぺたを強く捻ると最後にはパンッ!!と引っぱたく。
ヒリヒリして痛いいいい。

「なにやってんの…ほっぺた真っ赤じゃん」

『いひゃい……』

ーーーー次の日ーーーー

朝。ご飯を食べると、無一郎はどこかに行ってしまった。

「ちょっと稽古に行ってくるよ」

『気を付けてね～……って…稽古？』

どういう事か聞こうとしたが、既にいなかった。そわそわしながら待っていると、ふと部屋の端っこに壺があるのを見つけた。

『(さっきまであったっけ？)……綺麗な壺だな～……！？』

手を伸ばした瞬間、壺から出た小さな手に、私の手を掴まれた。あまりにも青白く小さいため気持ち悪さが勝つ。

『き、き、…気持ち悪い!!!!なに、なんなの!?!?』

玉壺「これはこれは、麗しいお嬢さん、御機嫌よう」

『お、……鬼!!……！？(上弦!!)』

とんでもなく気持ち悪い……口？口なの？に上弦の伍と書いてあった。目があるはずの所が口になっていて、口があるはずの所が目になっている。何より、手が短い。

『…貴方…上弦の鬼ね!!』

玉壺「当たりです」

『……伊集院衣織を、知っている？』

玉壺「あ～」

鬼は目を細めると、舌なめずりをした。

玉壺「その者なら…私が殺しました」

『ｯ!?』

玉壺「いやはや、あの者の肉は本当に美味しかった」

『ぉ……己……貴様ｯ』

体の奥底から怒りが込み上げてくる。日輪刀を鞘から出すと鬼に向かって突いた。が、避けられる。

『避けるなｯ!!よくも……よくもｯ!!』

玉壺「危ない危ない……ん？その羽織りは…」

『私の兄上の羽織りだ!!貴様が殺したのは…私の…私の…』

玉壺「兄上でしたか…これは失礼しました」

1mmも思っていないような言葉を言う鬼を見て、悔しさが込み上げてくる。

『許さない……許さない……許さない!!!!!!』