梅雨の終わりに愛を唄う【弐】 (ページ24)

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肆拾捌ページ24

「ｯ……僕も……愛してるｯ」

Aは嬉しそうに笑うと、頬から手を離した。

『……』

「……Aｯ……ねぇ!!A!!!!!!」

名前を呼んでも…彼女が目覚める事は無かった。
冷たい身体を背負って里の医者のところへの道を進んだ。

あの時、きちんと話しを聞いておけば良かった。
無理やりにでも聞いておけばよかった。

《鬼だったら……君も鬼も、許さないから》

あの時、君はどんな気持ちだったのだろうか。
君は悪くないのに……君のせいにして。

僕、ちゃんと君の、「旦那さん」出来てたかな。

ピクッ

「!!」

自然に足が早まった。指が微かに動いたのを見逃さなかった僕は、すぐに医者の元へ走った。

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医者「こりゃ酷い…肺がやられておるわ」

「Aはｯ、妻はｯ!!治りますか!?」

医者「なんと、時透様のお内儀でしたか!!……助かるかは分かりませんが…最善を尽くします」

しばらくして、Aの治療が終わった。懐からリボンを取り出してギュッと握りしめる。

医者「時透様…終わりましたよ」

「!!」

医者「会いに行ってあげてください」

胸の底から溢れ出す喜びと安心に、僕は走り出した。