肆拾 ページ16
君に何ができるって言うんだ。
持てるだけの刀を持って逃げろ。
里長を守れ。
なんて、君には出来ないか。
「ｯ!!」
一生懸命膜を破ろうとする小鉄くんの後ろから、無数の鬼が近付いて来ていた。
「(何してる!!気付け!後ろだ!!)」
小鉄「破れない!!」
壁を叩いて訴えるが、小鉄くんに届いてなかった。
そして……
ザクッ……
急所を刺された。
「(死んだ……やめろ、こっちに来るな!!僕に構うな!!君にできる事なんか、なにも無い!!)」
だけど小鉄くんは……水壺に口を添えて、ゆっくりと空気を送り込んでくれた。自分の事はそっちのけで。
《人のためにする事は、巡り巡って……自分のためになる》
《そして人は、自分では無い誰かのために、信じられないような力を出せる生き物なんだよ…………無一郎》
送られた空気を肺に貯めた。
「(…知ってる……霞ノ呼吸、弐ノ型…八重霞!!!!)」
連続技を出すと、やっと水壺が割れた。
「ガハッ……」
『ｯ…』
思い出したよ炭治郎。僕の父は君と同じ……赤い瞳の人だった!
「ゔっ……ゲホッゲホッ…ぅ、!!ゲホッ……」
顔と身体に刺さった毒針を抜くと、痺れが酷かった。
「A……小鉄くん……」
倒れる2人を見るが、視界がぼやけて来ていた。
隙をつきたいかのように鬼が迫ってくるが、刀を持つ手に力が入らなかった。
「(水の蜂から出られたところで……もう……)」
《無一郎なら大丈夫。さぁ、立って》
「……？」
上を向くと……
「父さん」
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作者名：見習い小説家 | 作成日時：2023年7月15日 11時
